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TPP交渉継続は合理的な行動か、コンコルドの二の舞か?

6/1(木) 20:25配信

投信1

TPP会合のシラケ具合

5月19~21日、ベトナム・ハノイで米国を除いた11か国のTPP閣僚会合が開催されました。2013年7月に日本がTPP参加表明をして以来、日米主導で交渉が進められてきましたが、トランプ大統領就任後のTPP離脱宣言で日本はある意味はしごを外された形になりました。

今回の交渉は実質的に何も進展がなく、「前向きな検討が行われた」というだけで先送りされています。なんともいえないシラケたムードで閉会した印象です。

米国の離脱で分断された各国の意思

TPPの正式名称は環太平洋戦略的経済連携協定で、12か国による貿易や投資の自由化を進める枠組みです。関税撤廃等により雇用創出、GDP押し上げ効果が期待されており、交渉参加国の人口を合わせると約8億人近く、世界のGDPの約36%を占めることになるため、発効すれば世界最大規模の自由貿易圏が実現する予定でした。

5年以上にわたって何度も先送りを繰り返してきたTPP交渉ですが、2015年10月に行われたアトランタでの閣僚会議で大筋合意に至りました。

そんな中での米国の突然の離脱。ゴールまであと一歩のところで振り出しに戻されたようなものです。大国であるアメリカ離脱による影響は大きく、予定していた貿易計画にズレが生じたため、各国にとってのTPPの位置付け自体が大きく変わってしまいました。

たとえば、米国の関税撤廃による輸出拡大が自国の最大のメリットだったベトナムやマレーシアにとっては冷や水をかけられたようなもので、当然合意に積極的にはなれません。一方で、米国の離脱で自国の乳製品や肉類輸出が有利になるオーストラリアやニュージーランドにとっては、むしろ歓迎すべき変化となったことでしょう。

すったもんだはあっても一つにまとまっていた各国が、今また別々の方向に向きつつあります。米国の離脱は、各国のTPP合意へのモメンタム(勢い)を奪い取ってしまったのです。

ゲームのルールを変えたもう一つの出来事

このような大国の行動で、グループ内のゲームルールが完全に変わってしまうことはしばしばあります。しかし、各国の意思がバラバラになった今、TPPを最終的に締結することは可能でしょうか?  個人的には各国をもう一度同じ方向に向かせるのは非常に難しいのではないかと思います。

その理由は、現TPPを発効するためには、米国の復帰や条件修正などにかなりの時間と不確実性が予想されるためです。そうした不安定な中で別の新しい貿易連携が登場すれば、乗り換えてしまおうとする国が多発するでしょう。

実際、RCEP(東アジア地域包括経済連携)やFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)の存在感が増しており、貿易での利益を享受したいアジア地域諸国からすると、早く締結できる貿易連携を選択するのは至極自然のことなのではないでしょうか。

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最終更新:6/1(木) 20:25
投信1