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安倍改憲で徴兵制はあるのか?小林節氏に聞く

6/1(木) 12:01配信

ニュースソクラ

改憲論議を小林節慶大名誉教授に聞く(下)

 ――お試し改憲として、国民が認めやすい9条へ3項を付け加えなら、問題はないのですか。

 自民党は9条2項を変えなければ、海外派兵はできないとしてきたのに、おととしの安保法制で、ありえない状況を想定しつつ、米軍についていく後方支援等を可能にしました。

 9条2項を実質的にズタズタにしておきながら、安倍首相は「専守防衛」の原則は変わりないと発言している。明らか矛盾であり、これをきちんとする必要があります。

 ――専守防衛の下でも、北朝鮮からミサイルが飛んできかねない状況のなかで、先制攻撃論を唱える人もいます。9条改正のなかで議論になりますか。

 先制攻撃は軍事戦略的にはありえても、専守防衛の原則に触れるばかりでなく、国内法、国際法でも許されていません。米国はやっていますが、国際法では違反です。

 ――軍事技術が進む中で、解釈で先制攻撃は自衛の範囲となりませんか。

 あいつは武器をもっているから、いまのうちに殺してしまおうということが許されますか。もちろん、米軍が攻め込んで勝てば誰もとがめることはできません。国際法は実力の世界ですから。

 ――今春の北朝鮮と米国の軍事緊張では、米国の戦争に巻き込まれるリスクを感じました。安保法があるからですが。

 ゴリラ(米国)とチンパンジー(日本)が足を結んで、二人三脚でいこうといっているような状態です。力の差があります。ゴリラがなんでも決めるんですよ。

 ――9条3項で自衛隊を認めるとすることで、徴兵制は憲法違反ではないと解釈することができるようになりませんか。いまは、徴兵制は職業選択の自由や、その意に反する苦役の禁止に抵触すると考えられているのでしょうが、憲法改正で改めて認められた自衛隊はそれ以上の存在だとなりませんか。

 自衛官が足りない、なのに中国や北朝鮮の関係で自衛隊の存立が国の存立に係わるとなれば、自民党的には、高度な公共の福祉であり、職業選択の自由や思想、信条の自由を制限できるという論理は成り立たないとは言い切れません。

 しかし、軍隊に行くか行かないかは命にかかわります。命にかかわることを犯罪者でもないのに国家が強制するのは限度を超えます。徴兵制を導入したいなら、自民党改憲草案にあったように、国を守る義務を憲法に書きこまないとだめです。義務が書かれたら、権利を消すことができます。

 とはいえ、技術的にはそういうことはできますが、国民が徴兵制を積極的に認めるとは思えません。

 ――9条3項の書き方によっては、徴兵制が許されるようになるというようなことはありませんか。

 そんな書き方をしたら蜂の巣をつついたようになり、国民投票で否決されるでしょう。言葉のごまかしでどうなるものではないです。

■聞き手 土屋直也(つちや・なおや) ニュースソクラ編集長
日本経済新聞社でロンドンとニューヨークの特派員を経験。NY時代には2001年9月11日の同時多発テロに遭遇。日本では主にバブル後の金融システム問題を日銀クラブキャップとして担当。バブル崩壊の起点となった1991年の損失補てん問題で「損失補てん先リスト」をスクープし、新聞協会賞を受賞。2014年、日本経済新聞社を退職、ニュースソクラを創設

最終更新:6/1(木) 12:01
ニュースソクラ

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