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介護福祉士の合格者が激減 受験資格の厳格化で

6/1(木) 17:40配信

福井新聞ONLINE

 3月に発表された2016年度の介護福祉士国家試験の合格者が、福井県内は320人で15年度(661人)に比べて半数以下に落ち込んだ。今回から実務経験者を対象とした受験資格に450時間(無資格者の場合)の研修が追加され、全国的に受験者が激減したことが主な原因とみられる。県内関係者は「将来的には介護人材不足に拍車がかかる恐れがある」と懸念を強めている。

 厚生労働省によると、1月29日に筆記が行われた16年度国家試験の受験者は全国7万6323人で、前年度の15万2573人から半減した。合格率は過去最高の72・1%になったが、合格者は5万5031人と前年度を大幅に下回った。

 県内合格者は、07年度以降におおむね500~600人台で推移し、13年度は755人に上った。一方で、受験資格が変わった16年度の合格者320人は、山梨県(283人)に次ぎ、全国2番目の少なさとなった。

 高齢者施設でつくる県老人福祉施設協議会の荒木博文会長は「実務者研修の影響しか考えられない」と指摘する。これまでは無資格で働き始めても、3年以上の実務経験があれば受験資格が得られた。施設の規模などによっては働きながら研修を受ける時間をつくるのが難しく、費用も10万~20万円程度かかる。

 受験資格の厳格化は、介護職の専門性を高め、給与アップなど処遇改善につなげる狙いがある。荒木会長が園長を務める光道園では、職員の受講費用に対する独自の補助制度を設けて、希望者は資格を取るよう促している。「専門性を持った職員として育てる担保がなければ、採用時に人が集まらない」と強調する。

 一方で、「中小規模の施設で職員の受講機会を確保するのは、財政的にも人員的にも非常に大変。一定の実務経験がある人に、本当に450時間の研修が必要か検証する必要がある」と指摘する。

 県は、職員の受講で雇用した代替職員の人件費に対する補助事業を設けている。年間200人分程度の利用を見込んで予算化しているが、16年度の利用は9法人で計36人分にとどまった。

 県長寿福祉課の担当者は「事業の初年度で周知不足だった。4、5月に代替職員を確保する場合が多く、6月から補助の受け付けを始めた影響もある」と説明する。ただ、荒木会長は「介護現場は慢性的な人手不足で、研修中だけの代替職員を確保するのは難しい」と語り、研修の受講費用を直接補助した方が現実的だと訴える。

 厚労省が15年にまとめた推計では、25年度に県内の介護職員が1700人以上不足するとされている。現場では介護福祉士の資格がなくても働けるため、合格者の激減で運営がすぐに立ちゆかなくなるわけではない。ただ、介護福祉士を養成する専門学校などの入学希望者も減っており、現場の中心になる専門職の確保と質の向上のバランスをどう取るかが、大きな課題になっている。

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