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日産の“コスト責任者”に直撃。何を減らしますか?

6/1(木) 12:10配信

ニュースイッチ

「どこかの工場を閉鎖するということにはならない」

 日産自動車が新たな成長ステージに踏み出す。2017年度から新たな中期経営計画が始動し、16年に資本提携した三菱自動車との協業加速も見込まれる。自動運転など次世代技術の開発競争が激しさを増す中、両社でいかに競争力を高められるかが注目される。開発、生産、調達を統括する山内康裕チーフ・コンペティティブ・オフィサー(CCO)に、今後の展開について聞いた。

 ―次世代技術にどう対応しますか。
 「電動化や自動運転、コネクテッドといった新技術に資源を振り向ける必要がある。ただ電動化に関して当社は電気自動車(EV)やバッテリーの開発を含めて深い知見を蓄積しており他社よりも優位な立場にある。自動運転分野でも一部機能を搭載した車種を16年に投入したほか、センシングや画像解析で世界初の技術を出すなど経験は豊富だ。さらに異業種を含めたパートナーと連携できれば、自動車業界をリードする存在になれる」

 ―17年度から新中計が始動します。
 「前中計では車種の調達、物流、生産までの総コスト『TDC』の削減活動を推進し、現在までにTDCを把握する体制が定着したことは大きな成果だ。新中計では、それをさらに進化させる。例えば車種別にさらに活動を深めるほか、新車開発時の初期段階から踏み込むことでTDCの一層の最適化につなげる」

 ―生産、購買分野で三菱自動車との連携をどう深めますか。
 「生産については、それぞれの工場の有効活用に取り組む必要がある。ただ新中計では、お互いに成長を前提とする事業計画を立てており、どこかの工場を閉鎖するということにはならない」
 「購買分野では、既に車両の共同輸送や双方での人材交流も始まっており、計画通り順調に協業が進んでいる。また当社とルノーとの共同購買組織に、三菱自もなるべく早く加わることも検討している」

 ―NECとの電池製造会社オートモーティブエナジーサプライ(AESC)を中国ファンドに売却する報道がありました。電池事業の今後の方針は。
 「(報道については)現時点で何も決まっていない。車載用電池は今では多くの製造企業が存在し、自動車メーカー自らすべて行う時代は終わりに近づいている。ただ、当社として電池の開発をやめるつもりは一切ない」

 ―今後の電気自動車(EV)戦略は。
 「EVはメーンストリームの一つになっており、当社としてラインアップをかなり強化していく。またEV『リーフ』で重大事故が起こっていないことから、EVに対する品質と信頼性も間違いなく訴求できる」

【記者の目】
 先行するEV市場は今後、「自動運転やコネクテッドを加えた総合的な勝負になる」と山内CCO。競争を勝ち抜く上で、いち早く次世代技術を取り込んだクルマ作りがカギとなる。仏ルノー、三菱自との3社連合のシナジーを突き詰めつつ、開発体制を深化させられるか。将来の成長を左右する重要な1年となりそうだ。
(日刊工業新聞第一産業部・土井俊)

最終更新:6/1(木) 12:10
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