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メモリ売却で焦る東芝、上場維持の執念は正しいのか

6/1(木) 14:30配信

ニュースイッチ

実態的には債務超過にあらず。誤解や無知を改める時

 東芝の半導体メモリー事業の売却手続きが難航している。5月30日には入札の意思を表明している産業革新機構が、正式決議を見送った。債務超過回避のため売却先の選定を急ぎたい東芝と、公的資金を投入する意義を探る政府側に齟ごが生まれ始めている。事態を複雑化させているのが、なかなか実態の見えてこない「日米連合」だ。他の入札者からは深まる混迷にいら立つ声も出ている。

<姿見えぬ「日米連合」>

 「ファンドと事業会社ではそもそも出資に対する考え方が違う。最初からそれを無視して、数字がまとまればいいと進めたことに無理があったのではないか」―。革新機構の幹部はいらだちを隠さない。

 東芝は19日にメモリー子会社「東芝メモリ」への2次入札を締め切った。投資ファンドの米コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)や同ベインキャピタル、通信用半導体などを手がける米ブロードコム、台湾・鴻海精密工業の4陣営が応札し、東芝が希望する2兆円以上の提示額もあるという。2次入札の時点で意思表明をしていない新規の提案は、もう受け付けない姿勢だ。

 革新機構は「海外への技術流出を防ぐ」との経済産業省の意向を受け、資本参加の検討を始めた。KKRや日本政策投資銀行との連携を視野に、入札に参加する意思表明をしている。

 しかし出資提案の調整が長引き、正式決議には至っていない。2期連続の債務超過を避けるため2018年3月末までの売却完了を目指し、早期提案を求める東芝と、日本にメモリー技術を残したい経産省の間で、板挟みとなっている状況だ。

 革新機構にとってハードルはいくつかある。まず一つは東芝と米ウエスタンデジタル(WD)との関係だ。メモリー工場を共同運営するWDは第三者への売却は契約違反だとして、国際仲裁裁判所へ売却手続き差し止めを申し立てた。入札には参加していないものの、優先交渉権や過半出資を要求し単独での協議を続ける。

 ただNAND型フラッシュメモリー市場での両社のシェアを合わせると、33%を超える。WDの出資比率が高まれば独占禁止法の審査に時間がかかってしまい、期限内の売却完了が困難になる。東芝側は独禁法を回避するためにも、WDからの過半出資は避けたい考えだ。

 一般的には係争案件を抱えていないことが、デューデリジェンス(資産査定)の際の条件になる。しかし東芝とWDは「完全にケンカしている状態」(関係者)。革新機構側は「WDとの折り合いが付けばかなりの部分が解決する」(幹部)との見解を示す。

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最終更新:6/1(木) 14:30
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