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「八戸―苫小牧航路」再評価 運転手の労働環境変化受け

6/1(木) 15:00配信

デーリー東北新聞社

 トラック運転手の労働環境の変化を受けて、八戸港と苫小牧港(北海道)を結ぶフェリー航路の役割が再評価されつつある。国が運転手の労働時間を厳格化する一方、フェリーの乗船時間を全て休息に算定することを可能としたためだ。東日本大震災前の2009年度と比べると、トラック輸送量は1割以上増えており、16年度は15万7645台(前年比698台増)で、川崎近海汽船(東京)による4隻運航となった06年度以降で最も多かった。

 国は高速道路で相次いだ死亡事故を踏まえ、2日にまたがるなどの長距離運転の場合に連続8時間以上の休息を義務付ける基準を13年に厳格化。特に本州との間で長距離の走行が必要な北海道の運送業者にとっては、慢性的な人手不足と基準順守の双方に対応が必要な状況となった。

 北海道内の運送業者は「運転手の不足は深刻。1台を2人交代で運転させることはできず、法定の休息を取りながら1人で運転させるしかない」とする。

 一方で国は15年9月に基準を改正し、フェリーの乗船時間を全て休息と算定するのを可能とした。それまでは2時間は拘束時間と見なされ、例えば8時間の乗船だと6時間しか休息に算定されなかった。

 川崎近海が運航する八戸―苫小牧のシルバーフェリーは4隻が1日1往復ずつの4便体制で、便によって7時間15分~8時間半で結ぶ。運転手の法的な休息時間をほぼ満たすことが可能で、利用増につながっている。乗船が8時間以下の場合は下船後に足りない分の数十分を休めば済む。

 貨物需要に対応するため、同社は12年に投入した新造船・シルバープリンセスで輸送量を3割増やしたのに加え、来年4月に投入予定のシルバーティアラでも2割増強。来年6月には宮古(岩手県)―室蘭(北海道)を約10時間で結ぶ航路を開設する。

 寅谷剛常務は「八戸―苫小牧は一部の便で需要に応じ切れていないので、かねて輸送能力の増強を考えてきた。新航路を含めて需要は十分にあると考えている」と話す。

 「八苫航路」は主に首都圏と北海道を結ぶ物流の動脈で、宅配などの雑貨、畜産物、冷凍品が柱。06年に東日本フェリーが撤退後は、2隻を引き継いだ川崎近海の4隻体制となった。同社は貨物の“モノ”に加え、客船機能の快適性を高めて観光客など“ヒト”の取り込みも図っている。

デーリー東北新聞社

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