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市井の学び場、終幕へ 鎌倉・市民アカデミア

6/1(木) 23:00配信

カナロコ by 神奈川新聞

 戦後間もなく鎌倉に設立され、4年半で閉校した私立学校「鎌倉アカデミア」の精神を受け継ぎ、40年以上続く生涯学習グループがある。鎌倉に住む大学教員らが中心となって立ち上げた「鎌倉・市民アカデミア」。講師と生徒が共に運営し学び合う場だったが、メンバーの高齢化からことし、活動に幕を閉じる。

 「鎌倉アカデミアのことを話すときは生き生きしていたね」。市民アカデミアの3代目代表で日大名誉教授の牧野富夫さん(80)は、設立の中心メンバーで立教大教授だった故久保田順さんを振り返った。久保田さんは閉校直前の鎌倉アカデミアに1年間通っていた。

 鎌倉に住む大学教員有志でつくる「鎌倉大学人の会」は1976年4月、“元祖”アカデミアの再興を願う声を受けて、市民アカデミアを開校。新聞で告知すると、申し込みの電話が殺到したという。講師と受講生で運営委員会をつくり、文学や歴史、経済、芸術などさまざまなテーマで毎年10~20講座を開いた。

 「一方通行的になりがちな講義でなく、ゼミナール形式での対話学習を」「市民が自主的に、独学したいという意志をもっていて、その上でそれを助けるような場でありたい」。市民アカデミアの狙いを、久保田さんは著書にこう記した。

 牧野さんも講座を受け持った。受講生たちと自主ゼミを3年続けて「資本論」全巻を読み終えた。「熱心な生徒ばかり。死ぬまでに一度読みたいと通った男性もいた」と懐かしがる。

 「夜の講座には社会人や学生も参加し、盛んに議論した」と、77年から運営委員を続ける太田美幸さん(77)。講師を務めたジャーナリストの西谷晋さん(76)は「自分より詳しい受講生もいて、先生も生徒も学び合うのが特色」と話す。

 活動を支えた運営委員は70~80代になり、継続が難しくなった。牧野さんは「第三のアカデミア」登場を期待する。「鎌倉には『アカデミア』という伝統がある。若い世代が受け継いでくれれば」

 最終年となることしは6月9日~10月18日、「『閉塞社会』をこえて」をテーマに9講座を予定。6月3日には中野晃一上智大教授による特別講座を鎌倉生涯学習センターで開く。問い合わせは、運営委員の塚原將元さん電話046(873)0533。