ここから本文です

ヒュー・ジャックマン、17年の歴史に幕 『X‐MEN』への愛と別れ

6/1(木) 6:20配信

クランクイン!

 ヒュー・ジャックマンは潔い男だ。代表作にして、ハリウッドの扉を開いた出世作『X‐MEN』シリーズのウルヴァリン/ローガン役を、最新作『LOGAN/ローガン』で締めくくることについての葛藤を聞くと、「一旦決めたら、全く迷いはなかったよ」と言い切ったからだ。ヒューは続けて、「だって、すべて出し切ったからね」と、17年もの間、8本の同シリーズに出演したことに、ほのかな感慨を込める。ヒュー自ら「完璧な終わり方」と表現したフィナーレにふさわしい、ローガンというヒーローの内面に迫った作品への愛と別れを聞いた。

【関連】『LOGAN/ローガン』来日記者会見&NYスクリーニングフォトギャラリー


 『LOGAN/ローガン』では、不死身の超人とされていたローガン(ヒュー)が、変わり果てたボロボロの年老いた姿をさらすシーンから始まる。かつて、無敵のヒーローだった男の姿は見る影もなく、雇われ運転手として日銭を稼いで暮らしていた。パワーを失った男の傷を負った立ち姿、ダークでものものしいオープニングは、これまでの『X‐MEN』シリーズとは一線を画す風情を醸し出しており、観客にこれから幕を開ける「終わりの始まり」という緊張感、これで見収めだという覚悟を植えつけてくれる。

 冒頭から漂う「いつもと違う感」について、ヒューは、「今回はこれまでとはすごく違うものにしたい、観客を驚かせたい気持ちがあったんだ」と狙い通りであると告白。演じたローガンについての分析も深い。「彼は非常に悲劇的なヒーローだったんだ。今までヒーローの部分だけを出していて、悲劇的な部分が出ていなかったから、悲劇的なところを出したかった。実は、闘うのは非常に楽なことで、人とつながったり愛することがローガンは苦手なんだよ」と饒舌に話す。「人間関係や人とつながること、家族ということがテーマになっているんだ。非常に美しい主題だよね」と、締めくくった。


 とはいえ、本作でもローガンのヒーロー然とした姿は少しずつ顔を出してゆく。ミュータントの最後の希望である、幼い少女ローラを守ることになったローガンは、少しずつローラと心を通わせる。劇中、ローラが夢中になる映画『シェーン』が、その先の二人を暗示するような憎い演出で胸を打つ。ヒューは言う。「『シェーン』では『殺人者の烙印は消えない』と語る場面が出てくるでしょう? 元々シェルターにいてほとんどしゃべらないローラが、あの映画を通して“道徳”というものに触れるんだ。ローガンが、もし同じ台詞を言おうものなら、彼らしくないというか、なんか少し甘くなってしまう。映画の中で言わせるというのは、とても賢いやり方だったと思うよ」と、神話的な映画の持つ力が現れている場面だから、お気に入りだという表情。

 現在のアメコミブームの引き金となった『X‐MEN』シリーズの存在は偉大であり、主人公を長年演じ続けてきたヒューの功績にほかならない。17年の責務を終えたときの率直な気持ちを尋ねると、「感謝、疲れた(笑)、ハッピー…でもちょっと緊張感があったかな」とクランクアップの日の感情を一言、一言、じっくりと思い出してくれた。そして、「ベルリン国際映画祭で、完成した『LOGAN/ローガン』を観たときに、初めて『ああ…!』と安堵感が訪れたんだ。すごく私的な映画で、すごく期待値が高かった。けど、それを遥かに超えてくれた完成作だったから、本当に幸せだったよ」と、情熱的な笑顔を広げた。インタビュー中、何度も「ハッピー」という言葉を使ったヒューの渾身の思いが込められた集大成には、ウルヴァリン/ローガンに「ありがとう」と送りたくなるような、彼への愛が募ってやまない仕上がりになっている。(取材・文:赤山恭子)

 映画『LOGAN/ローガン』は6月1日より全国公開。