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追い詰められる在宅介護、現場からのSOS 「心身の限界」64%「放棄考えた」41%

6/1(木) 8:00配信

沖縄タイムス

 沖縄県内で65歳以上の高齢者を在宅介護する人の64・5%が、精神的・肉体的な限界を感じていることが沖縄タイムスのアンケートで分かった。介護がつらくて「放棄してしまいたい」と思った人は41・8%に上り、介護中に暴力を振るった経験がある人も14・2%いた。誰もが当事者になり得る家族や親族の介護で、孤立や疲労から追い詰められ、虐待へ向かいかねない危うい実態が浮き彫りとなった。(社会部・篠原知恵、新垣綾子)

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 アンケートは自治体や県内5カ所の認知症疾患医療センター、家族会などを通して約600通の調査票を配布し、31日までに141人の在宅介護者(男性41人、女性99人、不明1人)から回答を得た。選択式の質問に加え、自由記述欄を設けた。

 介護に精神的・肉体的な限界を感じたり、調子が悪くなったりしたことがあるのは91人。腰痛や睡眠不足のほか、気分の落ち込みが多い。「不眠でうつ状態になり心療内科に通った」(63歳女性)など「介護うつ」に陥ったケースや、ストレスが心筋梗塞や胃潰瘍、帯状疱疹(ほうしん)といった身体の異常として表れた人もいた。

 「介護を放棄したい」と思ったことがあるのは59人。認知症家族の一人歩き(徘徊(はいかい))や暴言、排せつの失敗が度重なった人が目立ち「部屋の中で排便して平気なのを見た時『死ね』と言ってしまう。殺したくなる」(70歳女性)との記述も。周囲の不理解を理由に挙げた人もいた。

 暴力を振るった経験は20人にあった。「一日中振り回され、言うことをきかないので頭にきて叩(たた)く」(73歳男性)、「ありがとうの気持ちが見えず腹が立って」(82歳女性)、「顔を見るだけでいらいらし、同じことを何度も聞いてくるのでついこずく」(63歳男性)などの理由がみられた。

 暴力がなくても、「暴力を振るいたくなるが我慢している」(44歳女性)、「早く死んでほしいと思う」(49歳女性)など、ぎりぎりの精神状態がうかがえる回答もあった。相談先の有無では「ある」が8割近くに上り、ケアマネジャー、家族・親族、病院・施設の順で多かった。

 回答者の年齢層は60代が最多の54人で、次いで50代(28人)、70代(26人)。約8割が同居しながらの介護で、介護年数は「5年以上10年未満」が40人で最も多く、「1年以上3年未満」と「3年以上5年未満」(30人)が続き、「10年以上」も25人いた。一方、被介護者は実母が61人で、次いで夫(42人)、義母(19人)、実父(18人)の順。要介護度1~3が目立った。

最終更新:6/1(木) 14:00
沖縄タイムス