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FacebookのCEOほか著名人がベーシックインカムを支持する理由

6/2(金) 7:00配信

ZUU online

FacebookのザッカーバーグCEOがハーバード大学のスピーチで、「GDPなどの経済基準を超過した成功の尺度」としてベーシックインカムに注目すべきだと発言。「可能性を探索すべき」と試験導入を支持する立場を表明して話題になった。

2017年4月のフランス大統領選に社会党候補として選ばれたブノワ・アモン前国民教育相 や、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの人類学者、ジェイソン・ヒッケル教授なども、社会や産業の好転に貢献するとポジティブに受けとめている。

ただ労働意欲の低下や国の税収の減少といった直接的な影響から、費用のねん捻出策まで、懸念の声も多数聞こえる。

■EU加盟国の7割がベーシックインカムに賛成

ベーシックインカムとは、就労状況や資産額を問わず、すべての個人に必要最低限の金額を給付するという所得保証制度である。

基盤となる概念は古代ギリシャの哲学者、アリストテレス や共和政ローマ時代のマルクス・キケロが作りだしといわれている。史上で初めて実際の制度が導入されたのは英国で、1590年代後半から「スピーナムランド制」を含む貧民救済策が投じられてきた。18世紀に英哲学者、トマス・ペインが具体的な発想を提唱したことから欧州全体に概念が広がり、1986年に国際組織「ベーシックインカム・アースネットワーク」 が結成された。

ドイツの市場調査会社、ダリア・リサーチとスイスを拠点とする科学調査ネットワーク「ネオポリス」 が2016年に共同で行なった調査からは、EU28カ国に住む1万人のうち68%がベーシックインカム(あるいは同様の制度)を支持した。

■スイスでは8割が反対票 労働意欲低下など懸念

2017年1月から試験導入しているフィンランドでは2000人の失業者に月額560ユーロ(約7万円)のを支給するというテストを実施中しているが、問題点も多々指摘されている。

費用のねん捻出はもちろん勿論、社会保険や年金、税制そのものを根本から再構築する必要性がでてくるほか、個人の需要に見合った保障が困難になるなど、まだまだ解決すべき課題が山積みなのも事実だ。

スイスでは2016年に導入を問う国民投票が実施されたが、75%が反対票を投じた 。この提案はすべての成人に就き2500フラン(約29万円)、未成年に625フラン(約7万円)を支給するというものだった。反対派は、「ベーシックインカムと同等の所得を得ている国民の労働意欲をそこなう」「企業の海外流出の引き金となり、国の税収が減りかねない」などを理由として挙げていた。

社会的な恩恵や副作用が立証されるまでには、かなりの時間を要するだろう。ザッカーバーグCEOの提案どおり、今後様々な試みをとおして、可能性を探索する価値は十分にあるはずだ。フィンランドに続き、イタリアやカナダなども 一部の地域で探索に着手している。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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最終更新:6/2(金) 7:00
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