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AKB48総選挙はオワコンだよね……のはずだったのに、速報で訪れた「おぎゆか」という超番狂わせ

6/2(金) 18:49配信

M-ON!Press(エムオンプレス)

秋元 康も想像できなかった? NGT48・おぎゆかの衝撃
宮脇咲良、8位。渡辺麻友、4位。指原莉乃、3位。松井珠理奈、2位。5月30日に行われた『AKB48 49thシングル 選抜総選挙』(以下総選挙)の速報発表において、今回の総選挙の「4強」と目された面々の名前が1位を前にして次々に呼ばれていきました。「あれ、じゃあ1位は……?」と多くの人の頭にクエスチョンマークが浮かんだ瞬間、その衝撃は訪れました。

1位、荻野由佳、5万5061票。NGT48チームNIIIの副キャプテンがたたき出した得票数は、2位のじゅりなを2万票以上も上回るぶっちぎりの数字。もしこのまま1票も増えなかったとしても、すでに昨年の最終順位で12位に入るというとんでもない状況に。おそらく(おぎゆかに大量投票したファン以外は)誰ひとりまったく予期していなかったであろうこの結末に直面して、ネット上はまさに阿鼻叫喚。また、おぎゆか本人も「今はまったく何が起こったか理解できていません」と困惑を隠しきれませんでした。

かつてAKB48の15期の仮研究生となったものの本メンバーにはなれず、バイトAKBでの活動を経てNGT48にドラフトを経由して加入した苦労人のおぎゆか。そんな彼女のファンには熱い方が多い、という評判は以前から聞かれていました。

「投票のためにたくさんCDを買わせてファンから金をむしり取っているだけ」とはこのイベントに対する紋切り型の非難ではありますが、一方で「お金を使って、さらに周りを巻き込むことで(おそらくこの速報に向けての投票呼びかけといったファンの自主的かつ組織的な動きがあったはずです)、自分の推しの人生を一夜で変えることができる」というこのイベントならではの背徳的な面白さを体現してくれたおぎゆかファンの皆さんには本当に頭が上がりません。



「アンチ指原」がおぎゆか支援に回ると、史上最大の革命が起きる可能性も
もちろん、今回の結果はあくまでも「各ファン陣営の最初の頑張りの結果」でしかありません。速報で名前が呼ばれても結局ランク外になってしまうケース(またはその逆)も普通にあります。また、昨年の総選挙で約24万票を獲得した指原莉乃も速報時点での得票数は約4万1000票だったわけで、投票終了までに実に20万票を上乗せしています。諸々考えると、「速報の結果は最終結果にはそんなに関係ない、結局は地力を持ったメンバーが上位に来る」というのが自分にとっての速報に接する際の基本スタンスでした。

ですが、おぎゆかのこの結果に関しては、少し認識を改めないといけないかもしれません。この速報によっておぎゆかのことを知った人たちが、ノリで一票を投じたら? 48グループのあり方に停滞感を覚えているファンが、自分の持っている票のうち一票でもおぎゆかに回したら? ランクインの望みが薄いメンバーを推している人が、どうせ死票になるならとおぎゆかに票を集めたら? 「アンチ指原」の方々が、おぎゆか支援に回ったら? ……もしかしたら、速報の結果が呼び水になって、とんでもないことが起きてしまうかもしれません。

自分自身まだ投票を済ませていないのですが、1票はおぎゆかに入れることに決めました。映画監督のマイケル・ムーアは昨年のアメリカ大統領選に先立ち、「ナイアガラの滝の端に立っている時、一瞬、柵を越えたらどうなるんだろうって心の中で思うのと同じような感覚で、黒幕になったような気分で、どうなっちゃうのか見てみたい一心でトランプにポンと票を入れる奴はいっぱいいるだろう」という表現でトランプ大統領の誕生を予想していました。

多くの48ファンが、今現在こんな気持ちになっているのではないかと思います。マンガ『スラムダンク』の表現を借りて自分の心境を説明すると、「ここまでくれば見てみたいですよ僕も…歴史が変わるところを…!!」という感じです。



「波瀾はなしだ」ではなくなった今年の総選挙、どう見るか
再び『スラムダンク』の表現を使ってしまいましたが、実はこの原稿を作成するにあたって「結局4強は盤石。いや、4強というか実質さっしーの1強。ここまで上が変動しない選挙も今までにない。大半の有識者もそんな予想だし、これだとぶっちゃけ盛り上がらないですね。それでもあえて言うなら見どころは……」というテイストの下書きを速報前に用意していました。

しかし、今回の速報結果に接して、この見立てがいかに浅薄なものだったかを思い知らされました。「つまらないな、マンネリだな」と思った瞬間に次のサプライズが起こるのが、総選挙というイベントです。このグループのファンが放つ熱量は、まだまだ健在のようです。

さて、ここからは速報を踏まえての今年の総選挙の見どころについて触れていきたいと思います。まず、何と言っても注目すべきは、おぎゆか首位獲得に沸くNGT48の動向です。おぎゆか以外にも選抜圏内に2名(5位の本間日陽と7位の高倉萌香)を送り込み、グループとしては2度目の総選挙参加ながら80位以内に5人が名を連ねたNGT48。

今回の発表ではまさかの92位に終わったキャプテン北原里英も、今年が最後の総選挙ということでここからスパートをかけてくるはずです。速報を経て、まだまだ経験の浅いこのグループが一躍台風の目となる可能性が出てきました。この勢いを最後まで持続させることができるでしょうか。

そんなNGT48を向こうに回して、他のグループの若手メンバーがどこまで巻き返すかというのも今年の総選挙のポイントです。特に重要なのは、最近「本店の若手は元気がない」と言われ続けている中でAKB48のメンバーがどれだけ選抜16名に飛び込んでくるか。昨年の選抜メンバーのうち6名が不参加となる今年の総選挙。この席をNGT48に取られたり、はたまた松村香織や大矢真那といったSKE48のベテランに強奪されたりするようでは、「48グループは支店に頼っている」というような構造は変わる由もありません。

次のエース候補の呼び声高い向井地美音、STU48のキャプテンに抜擢されるなどグループのまとめ役として定着してきた岡田奈々、次期総監督とも言われる高橋朱里、長年期待されながらいよいよ選抜が見えてきた小嶋真子、向井地と同期で最近では女性人気も伸びている込山榛香あたりが今年どこまで存在感を発揮できるかによって、今後数年の48グループ全体の覇権争いの趨勢が見えてきそうです。研究生ながら速報で16位と選抜圏内に飛び込んできた13歳の久保怜音がどこまで踏みとどまれるかにも注目が集まります。



もうひとつの注目点、「次の時代の48グループを引っ張るのは誰か?」
もちろん今年の総選挙には「指原莉乃が前人未到の3連覇を成し遂げるか」という大きなテーマもあるのですが、ここについてはなんだかんだ言って順当にことが進む気がします(やじ馬票がおぎゆかに集まったとしても、さすがに芸能界随一の人気を誇るさっしーには届かないはず……)。

それよりも、今回の総選挙で見るべきは「次の時代の48グループを引っ張る存在は誰になるのか?」ということです。前田敦子と大島優子の求心力が総選挙およびグループ全体を駆動してきた2009年~2011年を第一幕、さっしーの総選挙での立身出世がそのままグループの物語になった2012年~2017年を第二幕とすると、さっしーとまゆゆが不参加となる来年の総選挙はグループの第三幕のスタートとなります。

次のフェーズに向けて、残されるメンバーたちがグループの明るい未来を想起させる活躍ができるのか、また次なる主役候補は誰なのか。そういったことを占ううえで、今年の総選挙は例年以上に重要な役割を果たすことになると思います。

そんな2017年の総選挙において、突如脚光を浴びることになったおぎゆかのシンデレラストーリーはどこまで続くのか? 他の若手メンバーの巻き返しは? それとも、ベテラン勢が壁となって立ちはだかるのか? グループのひとつの歴史の終わりと新たな始まりが重なり合うこのイベント、最終結果が出るのは6月17日。残りの期間、各メンバーとファンの動向を見ながら楽しみに待ちたいと思います。

TEXT BY レジー(音楽ブロガー/ライター)