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柏レイソル7連勝、劇的変化の要因とは?“待つ”から“奪う”へのシフトチェンジと育成組織出身者の存在/コラム

6/2(金) 7:13配信

GOAL

明治安田生命J1リーグ第7節のヴィッセル神戸戦、大津祐樹の決勝弾による劇的な勝利が快進撃の始まりだった。以来、横浜F・マリノス、アルビレックス新潟、セレッソ大阪、FC東京、ジュビロ磐田、大宮アルディージャを下した柏レイソルの連勝は7まで伸び、ついには暫定首位へと躍り出たのである。

開幕からの6試合では3連敗を含む2勝4敗と大きく出遅れ、一時は15位にまで順位を落としていた柏が、なぜこうも劇的に生まれ変わったのか。

今オフ、柏にはハモン・ロペスが加わり、クリスティアーノ、ディエゴ・オリヴェイラとの強力なブラジル人トライアングルが誕生した。そこで今季から自陣に相手を引き込んでボールを奪う守備戦術を採用し、奪ったボールを素早く攻撃へ転じることで、前線の外国籍選手の破壊力を生かそうとした。

だが、この守備戦術が機能しない。開幕戦のサガン鳥栖戦こそ勝利したものの、続くガンバ大阪と川崎フロンターレには敗れ、開幕3戦で6失点と守備は崩壊へと陥る。

「待っているだけだとボールを取る位置が低すぎて、ガンバやフロンターレは奪われた瞬間に奪い返しにくるから、パスをつなげず、蹴るしかなかった。ガンバとフロンターレに負けて、『自分たちから守備のアクションを起こしたい。プレスに行きたい』という話をシモさん(下平隆宏監督)にしました」(大谷秀和)

■7連勝へと導いた選手たちの自発性

そこで迎えたのが3月15日、YBCルヴァンカップ・グループステージ第1節、清水エスパルス戦だった。この試合、柏は直近の川崎戦からスタメン8人を入れ替えて臨んだ。

「ルヴァンカップの清水戦では、(大島)康樹と(中川)寛斗が前線に入り、外国籍選手より守備のスイッチを入れられる。ブロックを作って守るだけではなく、奪いにいける時は自分たちからプレスに出ていこうという話になった」(大谷)

柏のハイプレスは清水から自由を奪い取り、爽快な試合展開でリーグ戦連敗の流れを断ち切る勝利を生んだ。

この1勝を機に、柏はそれまでの「待ち構える守備」から、「奪いにいく守備」へシフトチェンジするのである。開幕3試合で6失点だった守備は、ハイプレスへの転換以降は10試合で7失点、完封5試合と一転。前線でハイプレスのスイッチを入れる中川を筆頭に、ボランチの手塚康平、レノファ山口FCから加わった新進気鋭の右SB小池龍太ら、この清水戦で活躍した選手たちはその後のリーグ戦でも出場機会を掴み取り、今ではレギュラーに定着した。ルヴァンカップの清水戦は、ターニングポイントとなった一戦だった。

「選手たちが『相手のビルドアップを阻止するためにやりたい』という意思表示のもとにプレッシャーをかけているので、僕に言われてやらされているわけではない。自分たちはボールを持ちたいチームなので、そこで『早く相手からボールを奪い返したい、自分たちがボールを持っていたい』というのがある」

前節の大宮戦後、7連勝の要因を問われた下平監督はそう言って、選手たちが自発的にハイプレスを行なっていることを明かした。

■“ポゼッションスタイル”実現へのラストピース

そしてこのハイプレスへの転換に加え、もうひとつチームを変えた要因を挙げるとすれば、若き21歳の司令塔・手塚の存在が大きい。

柏はアカデミー出身選手が常時6~8人はスタメンに名を連ねる。ジュニア年代から“ポゼッションスタイル”の環境下で育った選手が多いとあって、先述の下平監督の言葉にもある通り「ボールを持ちたいチーム」だ。ところが、昨季までパスの発信源を務めてきた茨田陽生と秋野央樹が揃って移籍したことで、今季の序盤戦はパスがスムーズに回らず、攻撃が停滞するケースが多く見受けられた。それもまた、柏が波に乗れない一因でもあった。

その問題を解決させたのが手塚だった。J1第5節サンフレッチェ広島戦でリーグ戦デビューを飾った手塚は、チームのパス回しを潤滑にし、「ポゼッション」と「ハイプレス」という攻守両面の戦術が噛み合う最後のピースとしてピタリとハマった。さらにパスだけでなく、正確無比の左足キックで、時にはゴールをも陥れる手塚は多大な存在感を発揮している。彼が出場したリーグ戦9試合で、8勝1敗と顕著な数字が表れているのは決して偶然ではない。

7連勝の勢いはある。何より若いチームは勝利を重ねて自信を深めてきた。この絶好のタイミングで、柏は浦和レッズとの大一番を迎える。

文=鈴木潤

 

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最終更新:6/2(金) 18:02
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