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【専門家の目】財津和夫の大腸がん 腸閉塞から見つかったということは…

6/2(金) 17:16配信

デイリースポーツ

 「心の旅」「虹とスニーカーの頃」などの名曲で知られるバンド「チューリップ」の財津和夫(69)が腸閉塞と大腸がん(下行結腸がん)と診断されたことを2日、発表した。5月下旬、腸閉塞の治療のため入院中に受けた精密検査で大腸がんが見つかったもの。大腸がんとはどのようながんなのか、原因や治療法は。「甲南回生 松本クリニック」(兵庫県芦屋市)の松本浩彦院長に聞いた。

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 消化管のがんといえば上から順に食道・胃・大腸が代表ですが、「タチの悪さ」もその順です。大腸がんがいちばん治りやすく、早期発見できれば99%治ると思って差し支えありません。ただ残念なことに、大腸がんが見つかる患者さんのうち7~8割は進行がんで見つかります。腸閉塞で腹痛を起こし検査したら大腸がんだったとか、肝臓や肺に転移してから健康診断で見つかることもあります。もちろんかなり進行した状態で見つかるということです。

 早期で発見しようと思うと、大腸ファイバーという胃カメラの長いヤツを肛門から入れて腸全体を目視しなければなりません。もう1日仕事で、検査する方も受ける方も大変な作業です。受ける方が少ないのが実情で、早期発見が進まない大きな原因です。

 日本人のがんの部位別罹患率では大腸がんが1位です。日本の大腸がん死亡数は1950年から2000年までの50年で、男性が11倍、女性で8倍に増加しています。英米日で大腸がんの死亡者数を比較すると、80年には英米の6割程度だった日本が01年には両国を追い抜いて一番になってしまいました。要因として生活習慣では飲酒や肥満、食生活では赤肉(豚・牛肉など)や加工肉(ハム・ソーセージなど)の摂取増加が挙げられます。生活の欧米化が大腸がんの増加につながったのですが、これは大腸がんに限らず前立腺がんや乳がんにも言えることです。

 大腸がんの5年生存率はステージ1なら99%ですが、ステージ4だと20%と極端に下がります。大腸がん全体では75%、4人に3人は治ります。近年、分子標的治療薬という画期的な抗がん剤が開発されたおかげで、この成績は飛躍的に上がり続けています。私が医者になった頃には考えられなかったことです。

 財津さんは腸閉塞で見つかったということで、少なくともステージ2より悪い状態でしょう。ただし先程も述べたように最近の大腸がん治療の進歩には目覚ましいものがあります。希望的憶測も入って申し訳ないですが、財津さんの場合も7割以上の確率で治って、半年もすればまたステージで元気なお姿を拝見できると信じています。

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ) 兵庫県芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、(社)日本臍帯・胎盤研究会会長。