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執事のように寄り添うヒアラブル端末の将来像

6/3(土) 16:27配信

EE Times Japan

 「ユーザーの置かれている状況をAI(人工知能)が判断し、その時点で必要な情報を音声で提供する。例えば、ユーザーが遅刻しそうだったら、あと何分以内に駅に着けば間に合うかを伝える――。われわれが目指しているのは、そんなウェアラブルデバイスだ」。

【「耳音響認証機能による個人認証のイメージ」などその他の画像はこちら】

 NECは2017年5月24~26日に東京ビッグサイトで開催された「ワイヤレス・テクノロジー・パーク 2017」に、同社がヒアラブルデバイスと呼ぶイヤフォン型ウェアラブルデバイスのプロトタイプを出展し、その将来像をこのように説明した。

 NECがイヤフォン型のウェアラブルデバイスを開発しているのは、音声がユーザーインタフェースとなるハンズフリーなコンピューティングスタイルを実現するためだ。NECの説明員は、「スマートフォンの使用中は、目線も手もディスプレイに釘付けになる。だが、音声をインタフェースとしたデバイスは、スポーツや作業など他のことをしながらでも使用できる」と語る。

 しかも、NECのヒアラブルデバイスの場合、同社が開発した耳音響認証機能を搭載しているため、パスワードやIDの入力が必要なく、音声だけで個人の認証ができる。NECの耳音響認証機能では、音声をスピーカー経由で耳の中に送信し、反響した音をマイクで受信する。耳の中の形状は人によって全く異なり、同時に反響音も全く違ったものになるため、この方法で99.99%(2016年10月時点の実証値)個人が特定できる。認証にかかる時間は1秒に満たない。

 一方、NECのヒアラブルデバイスは、AIと地磁気センサーを活用した屋内位置測位技術も備えている。この位置測位技術は、屋内にある地磁気の特徴をあらかじめAIで学習しておき、ユーザーが移動したときに生じる地磁気の乱れを追い、ユーザーの位置を特定する仕組みだ。Wi-Fiやビーコンを設置するよりも圧倒的に安上がりだという。

■ヒアラブルデバイスの未来の姿

 屋内位置測定の他にも、NECのヒアラブルデバイスはユーザーのさまざまな状態が読み取れる。例えば、加速度センサーやジャイロセンサーで歩数、姿勢、向き、運動量など、マイクで脈波や呼吸パターンなどが取得できる。こうした機能を生かした将来のユースケースとして、NECはAIチャットボットによるパーソナルアシスタントや聴覚ナビゲーションなどを挙げている。

 パーソナルアシスタントとは、まるでバトラー(執事)が常に寄り添っているかのように、ユーザーのその都度の感情や行動に合った情報を、AIチャットボットが与えてくれる機能だ。NECの説明員によると、冒頭に記した例以外では「ユーザーが職場の入り口に近づいたら、AIチャットボットが耳音響認証機能を使って解錠してくれる――といったことを考えている」という。

 一方、聴覚ナビゲーションについては次のように説明した。「特定の方向から声が聞こえるようにする。例えば、目的地がユーザーの右側にあれば、『こっちですよ』と右から声が聞こえるようにし、後側にあれば後から声が聞こえるようにする。これを繰り返して目的地までユーザーを道案内するのが聴覚ナビゲーションだ。ユーザーの向きを把握するジャイロセンサーと、音に指向性を持たせる立体音響技術の組み合わせで実現できる」。

 NECはヒアラブルデバイスの2018年度の事業化を目指し、サービス事業者やデバイスメーカーなどと共同で実証実験を加速するという。また、システム構築事業者に対して、耳音響認証技術や屋内位置測位技術のAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を公開するとしている。

最終更新:6/3(土) 16:27
EE Times Japan