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あの日、大島優子は欲求不ウーマンだった

6/2(金) 16:02配信

スポーツ報知

 「取材」と聞けば、記者が誰かに何かを質問をして何かを答えてもらう行為を指すと多くの方が考えておられるだろう。

 残念ながら芸能取材においては、やや概念が異なってしまう。当事者に質問の出来る取材と質問の出来ない取材に二分される。むしろ後者の方が一昔前より確実に多くなってきている。

 映画の舞台あいさつなど一般の方が現場にいるケースだけでなく、最近ではパブリシティーやプロモーション関連のイベントでも質疑応答や囲み取材の時間が設けられず、司会者と当事者の間で交わされるトークのみに記事の材料を委ねざるを得ないケースが多々あるのだ。

 やはり取材対象者に何かを尋ね、得た材料を記事にすることを仕事にしている身としては実に悲しい現実である。

 現場を仕切る側からすると、作品や商品に関係のない質問や、タレントがご機嫌ナナメになってしまうプライベートについての質問をされると困るというのが理由なのだろうが、時として過剰な自己規制に陥っているケースも少なくない。

 5月31日、元AKB48メンバーで女優の大島優子がマクドナルドの「ビッグマック」のキャンペーン発表イベントにCMキャラクターとして出てきた時のことだ。

 当日はいくつかトピックがあった。大島がAKB時代に何度も頂点を極めた選抜総選挙の中間発表が当夜行われることになっていたから、レジェンドに「指原莉乃の3連覇は可能か」「躍進が期待される若手は誰か」などについて尋ねるタイミングとしてはベストだった。

 また、大相撲・高安の大関昇進伝達式が行われる日でもあったので、AKB時代の同僚で高安の幼なじみでもある秋元才加について「ぜひ高安さんと付き合って結婚までして部屋の女将さんになってほしい!」なーんてことを言ってもらえたら面白いな、という感覚を現場の記者たちは(たぶん)共有していた。

 イベントは進み、司会者とのやり取りで「ビッグマック最高!」的なPRコメントがたくさん展開された後、質疑応答はたまた囲み取材かと思いきや、なんと1社の代表取材に。しかも、代表取材を担当した方は芸能記者ではなかったようで「もうすぐ梅雨ですけど、髪が広がっちゃいませんか?」みたいな質問を連発しているうちに、取材時間は終了した。

 司会者から「ハイ終わりです。大島さん、ありがとうございました」と告げられた大島はキョトンとした顔で「え、これで大丈夫…大丈夫ですか!?」と苦笑い。百戦錬磨の大島だけに、少なくとも中間発表についての質問を受ける心構えはあったと思われるが、肩透かしを食らって戸惑いの表情。ビッグマックを平らげてオナカはいっぱいのはずなのに、表情には欲求不満の色さえうかがえた。

 なんとも締まらない空気の中でイベントは終了。言うまでもないことだが「梅雨ですけど髪が広がるのは気にならないです」というコメントを記事化したメディアが皆無(たぶん)だった。

 主催する側が無難にこなしたい気持ちも分かるが、トピックのない記事は大きくならないし、つまらないコメントは、されるはずだったオンエアの時間を奪うことになる。

 今こそ発想の転換を!(記者コラム)

最終更新:6/2(金) 16:12
スポーツ報知