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GI保護2年 登録35産品 家族農業の技 光る

6/2(金) 7:02配信

日本農業新聞

 地域の気候風土や伝統製法と結び付いた農産品の名称を地理的表示(GI)として保護する仕組みが始まって6月で2年となる。これまで登録された35産品は、いずれも規模の小さな家族経営の農家たちが力を合わせて守ってきたものばかり。政府の、農業の競争力強化という掛け声の下、企業や法人の陰に追いやられがちだが、世界に誇る日本産ブランドは家族農業が支えていることを映し出している。

 香りとまろやかさが特徴の福岡県の「八女伝統本玉露」は2年前、第1弾のGI登録を受けた。110年以上生産される高級茶で、全国茶品評会の玉露部門で2001年以降、16年間ほぼ連続で最高賞を受賞。ミシュランガイドの三ツ星レストランのシェフからも好反応を得ている。

 高品質を支えるのは、平均年齢70歳を超える188人の農家だ。稲わら被覆、手摘みという昔ながらの製法を家族経営で守り継いできた。規模が大きい農家でも5ヘクタールほど。八女市農業振興課の椎窓孝雄さんは「自分たちの目が届き、触って確認できる規模でないと品質を確保できない」と語る。

 登録された35産品の中には、JAや10人ほどの農家グループが申請したケースも多い。

 宇都宮市新里町の伝統野菜「新里ねぎ」もその一つ。立ち上がろうとするネギに土を掛けることで甘く軟らかくなり、地元では供給が追い付かないほど人気が高い。

 ただ、生産が難しいため農家は15人ほどでいずれも1ヘクタール以下の小規模。江戸時代から自家採種され、鍋料理など地域の食文化を支えてきた。新里ねぎ生産組合の麦島弘文さん(70)は「この土地に根付いたものを食べたいというニーズはある。生産者を増やし、次世代につなげたい」と話す。

 政府は農業の競争力強化をうたい、構造改革を急ぐ。重視するのが、法人などへの支援。そして高品質を売りにした農林水産物の輸出拡大だ。だが、その高い品質の日本産ブランドを支えてきたのは家族農業であることが、GI登録された35産品から浮かび上がる。与党内からは「家族農業をいかに支えていくかの議論も必要」(農林議員)との指摘も挙がる。

日本農業新聞

最終更新:6/2(金) 7:02
日本農業新聞