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事業譲渡2年、再建託された社長語る 江守商事

6/2(金) 8:58配信

福井新聞ONLINE

 化学品商社の江守商事(本社福井市)が、江守グループホールディングス(江守GHD)の民事再生に伴い、興和グループ(名古屋市)に譲渡されて丸2年がたった。再建を託された、中国など海外貿易に精通する興和出身の市川哲夫社長(67)が福井新聞の取材に応じ「地域に根差した骨太の会社を目指す。地場の福井、北陸の取引先に寄り添い、強みの機動力を発揮したい」と述べた。

 ―江守GHDが経営破綻した原因を振り返ると。

 「まずは福井を中心とした北陸の取引先、福井銀行をはじめとする金融機関、株主の皆さまには大変なご迷惑をお掛けした。改めておわびしたい。江守GHDの失敗は、中国貿易で暴走した子会社を、本社が食い止められなかったことにある。力量以上の実商売ではない商社金融的な手法で、与信リスクがあいまいな中国の現地企業に商品を売って、資金が回収できない泥沼に入った。こういった商売は二度とやらない」

 ―2年間の取り組みは。

 「コンプライアンス(法令順守)とガバナンス(企業統治)の再構築を徹底した。海外法人の駐在員を支援するため、各国のビジネスに関する情報を集約し、現地に還元する海外事業統轄部を組織した。社内も従来のグループ制から事業部制に戻し、責任と権限の所在を明確化した」

 「全国の取引先を訪問した。普通なら信用を失った商社と取引は続けてもらえない。だが、お付き合いの深い福井の老舗からは、危ない時期に江守に助けてもらった、今度は助ける番だと。金融機関からも、痛い目には遭ったが、地場企業を育てるのが役目だと支援を続けてもらっている。感謝しかない」

 ―4月から興和の完全子会社となった。相乗効果は。

 「興和は医薬品メーカーであり、商社でもある。相乗効果として、例えば興和のインド拠点との連携がある。インドに進出する企業を興和が江守につなぎ、江守から染料や化学品を提供している。既に7~8品目の実績がある。新規事業としては、興和の発光ダイオード(LED)照明を利用した野菜工場プロジェクトに、一緒にトライしている。興和との連携を強化し、ビジネスのスピードアップを図る」

 ―商社部門の戦略は。

 「東南アジア諸国連合(ASEAN)でのビジネス拡大を主眼に置き、攻めの営業を展開したい。中国からインドまで、現地に進出する大手をはじめ、地元日系メーカーの生産・販売活動に寄り添い、商社の仕事をきっちりやる。必要とする原料を調達して、お客を探して売っていく」

 「中国の原料を使った樹脂成形をマレーシアの工場で行い、インドネシアで販売する―といった多国間にまたがるニーズがある。これに対応できる機動力を江守は持つ。ロットは小さいが、付加価値の高い加工・原料メーカーに詳しく、小回りが利くという強みを生かしたい」

 ―中国・華南の経済特区に現地法人を立ち上げた。

 「江守GHDが中国で痛い目に遭って、また中国なのかとの指摘は当然受けた。ただ過去の反省を踏まえ、日系メーカーだけをターゲットにする。中国に受け皿の現地法人をつくるのなら、取引を復活してくれるというメーカーが多くあった。延べ8年間、中国に駐在した経験があり、現地ビジネスのリスクを把握した上で、中身のある実商売をやっていく」

 ―目標の数字は。どのような企業を目指すのか。

 「化学品、繊維、電子材料の各事業部とも利益率が高く業績は順調に回復している。グループで売上高600億円、営業利益15億円を目標にしたい。海外売上高比率は現状の20%から40%まで伸ばす」

 「骨太の会社を目指し、復活から成長への足固めを進めている段階。仕入れる商材の特性を知り、メーカーが何を欲しがっているのか理解を深めることが最も大切だ。どんどん先回りして商材を提案していく。江守は優良な顧客をたくさん抱えており、貴重な財産。地場のメーカーに寄り添い、泥臭く商材調達や販路拡大のお手伝いをして、われわれも一緒に成長させてもらいたい」

福井新聞社