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ヤマネコ野生復帰へ 訓練施設本格運用 対馬・厳原 「順化ステーション」今月から

6/2(金) 10:14配信

長崎新聞

 絶滅の恐れがあるため全国各地の動物園などで繁殖させた国の天然記念物ツシマヤマネコを野生に戻すための長崎県対馬市内の訓練施設について、環境省が近く本格運用を始めることが、1日分かった。対馬の自然環境を再現した巨大ケージでイエネコ2匹を飼い試験運用していたが、脱走の可能性がないことや衰弱しないことが確認できたため、ヤマネコ1匹を飼育するという。

 訓練施設「野生順化ステーション」は、同省が2014年度末、同市厳原町豆酘(つつ)の鮎もどし自然公園内に設置。6カ所に置いた巨大ケージ(計約2・6ヘクタール)の中に人工の池や川を設け、対馬に自生する樹木や草花を植えている。ケージはヤマネコがさまざまな状況に適応できるよう広さや環境が異なるという。各ケージの周囲を柵で囲ってヤマネコの脱走や野犬などの侵入を防ぎ、自然に近い状態で餌の捕り方や外敵への対処法を学ばせる。

 イエネコ2匹は昨年3月からケージ内で飼育。人慣れしていない雑種のオスとロシアンブルーのメスで、野ネズミや野鳥を襲って食べている。ハチに刺されることもあったが、大きなトラブルはなく、体重も維持できているという。

 このため同省は今月10日前後にも、約1年半前に上対馬町で衰弱していたところを保護したメスの成獣「ナナミ」をケージに入れる予定。ナナミは同省対馬野生生物保護センター(上県町)で約1年飼育し野生に放ったが、約1カ月後に衰弱した状態で再び見つかったため再収容した。

 野生順化ステーションの高辻陽介自然保護官は「ナナミの野生での生存能力を確かめるためには、自然に近いケージでのリハビリが適している。将来的に全国各地の動物園などで繁殖させたヤマネコの野生復帰訓練を検討したい」と話した。同ステーションは原則非公開だが、教育目的の見学などは受け入れを検討する。

長崎新聞社

最終更新:6/2(金) 10:14
長崎新聞