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「おらあ」金塊206キロ密輸 捜査員、釣り人装い一斉に取り押さえ

6/2(金) 10:09配信

西日本新聞

 静かな港に突然、怒声が飛び交った。5月31日、白昼の佐賀県唐津市の名護屋漁港で起きた金塊密輸容疑事件。Tシャツや作業着姿で釣り人を装った捜査員が容疑者8人を一斉に取り押さえた。空にはヘリコプターが低空飛行、金塊を積んでいたとみられる漁船「第三十六旭丸」は動けないよう海上保安部の巡視艇が横付けした。一瞬の出来事に居合わせた住民たちは驚いた。

⇒容疑者が捕まった佐賀県唐津市の名護屋漁港。「ここは避難港。よその船が入ってきても違和感はない」

 近くで釣りをしていた20代の男性によると、漁船は同日午後3時ごろ、同港の岸壁に接岸。間もなく3人の男たちがプラスチック製のような大箱を大量に漁船から岸壁に運び出したところで、捜査員たちの「おらあ」という叫び声が響いたという。

 岸壁で釣り糸を垂れていた捜査員とみられる約20人が3人組を取り囲んでいた。男性は「あまりにも突然で、最初はふざけているのかと思った」と話す。漁港近くの70代女性は「この1週間、いつもはいない海保の船が唐津湾の西側にずっといて、おかしいなと思っていた」と語った。

 同船は数日前から漁港に出入りしていた。見た目はイカ釣り船のようだが、仕掛けの巻き上げ機がなかった。近くの60代女性は男たちに「たばこはどこに売ってるか」と聞かれて答えたら、男は「青森から来た」と話した。だが、漁業者には見えなかったという。

 長崎県壱岐市のイカ漁関係者は「この時期に九州に青森の船がいるのはおかしい」と話す。

 玄界灘周辺は12月から翌年3月にかけて北海道や石川県などからも漁船が集まるが、北上するイカを追って今は石川県沖で操業している。

 佐賀県は漁場が狭いこともありイカ漁は原則自由で、名護屋漁港の岸壁の使用にも規制がない。そこが狙われたと考える関係者もいる。

=2017/06/02付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社

最終更新:6/2(金) 11:40
西日本新聞