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はがき値上げで300億円利益かさ上げ。日本郵政の成長戦略はどこに?

6/2(金) 10:08配信

ニュースイッチ

やっぱり不動産ビジネスに活路か

 1日、消費増税による値上げを除くと23年ぶりに切手・はがきが値上がりした。日本郵政グループの日本郵便の経営は郵便物の減少や人件費高騰など逆風が続く。長門正貢日本郵政社長は5月の2017年3月期決算発表で郵便料金の値上げなどで「約300億円の増益を見込む」としているが、郵便物の長期減少が続く中、成長戦略を描くのは容易でない。
 
 はがきは52円から62円に、往復はがきは104円から124円への値上げ。利益の大半を稼ぐ「年賀はがき」の料金は据え置かれたが、「定形外郵便」と「ゆうメール」も料金体系の改定で実質的な値上げ。ネットオークションやフリマアプリなどで商品を送る人にとっても打撃となりそうだ。

 一方、日本郵政の17年3月期連結決算は、日本郵便が15年に約6200億円で買収した豪物流大手トール・ホールディングスの4003億円の一括減損処理で、289億円の当期損失に転落した。日本郵便は3852億円の当期損失。長門社長は「負の遺産を一掃する」とした。その上で、「18年3月期は日本郵便の130億円の黒字転換を目指す」。

 当初、日本郵政は17年3月期連結決算で3200億円の当期利益を見込んでいた。しかし、トールは主力の鉄鉱石・石炭物流事業が中国経済の減速で低迷。トールの「のれん」償却負担が日本郵便に毎年200億円以上のしかかる危機的事態に陥った。東芝の米ウエスチングハウス(WH)買収と同じ構図だ。

 政府は日本郵政株を7月にも追加放出する方針。ただ、郵便料金を引き上げても焼け石に水。将来的な成長は見込めず、打開策として高級マンション「プラウド」で知られる野村不動産ホールディングス(HD)のM&Aを検討しているなど、不動産ビジネスに活路を見い出そうとしている。

日刊工業新聞・八木沢徹

最終更新:6/2(金) 10:08
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