ここから本文です

近所だけでは通用しない、病院長が口コミを気にする理由

6/2(金) 10:24配信

ニュースイッチ

今どきの患者さんは評判が第一?

  最近はランキングが大はやりです。病院ランキングもそれに漏れません。雑誌も毎年出ていますし、便乗して病院の診療科の宣伝を勧めて、さらに収入を増やそうとする雑誌もあります。

 最近、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の岩崎夏海氏の講演を聞く機会がありました。

 その中で、駅前のラーメン屋はどんなにまずくても昔は閉店しなかったが、インターネットで沿線のどのラーメン屋がおいしいかまずいかという情報が流れるようになってから、客が少し遠くてもおいしい店を選ぶようになり、まずい店は閉店してしまった、という話を聞きました。

 しかし、病院選びでは必ずしもインターネットの影響がストレートに出る訳ではないようです。もちろん救急では直近の病院に搬送されるし、症状が重篤であれば、救命救急センターに運ばれます。がんの時には、先ほどのランキングも参考にするかもしれません。

 少々古いですが2009年1月18日のビジネス誌の記事によれば、患者さんが選ぶ基準の第1位は近くにあることで37・2%。第2位は病院の評判で15・1%、第3位は医療スタッフの実力で13・1%でした。

 普段、少し調子が悪い時には、近くて評判の良い病院があればそこに行くというのが患者さんの実際の動き方のようです。実際にかかった知人からの評判は本当に大切です。

 評判ということではタクシーの運転手さんもそうした評判にはかなり敏感な職種ではないでしょうか。2年程前ですが、池袋からタクシーに乗った時、少し疲れていたので行き先を告げた後はこちらからは話をしませんでしたが、向こうから話を始めました。

 「実は僕も豊島病院にかかっていて、しっかり診てもらってます。でも、この間救急外来が混雑して、座るところがなくて、ちょっともめました。でも、すぐ横には座るところは十分あったんです。職員の人がそこに気がついて誘導すればあんなにもめなかったと思います…」。思わず知らずこちらの背筋が伸びてきました。「おっしゃる通りですね。今後気を付けますから」。

 当院のことを職員と同じように考えてくれる患者さんがいることを大変うれしく思いました。当院のサポーターになってくれているとすればありがたいことで、タクシー利用者にも当院を勧めてくれるのではないかと内心期待してしまいました。

 病院で車を降りた後、そのタクシーが走り去るまで、私は思わずしばらく頭を下げていました。

山口武兼(公益財団法人東京都保健医療公社豊島病院院長)

最終更新:6/2(金) 10:24
ニュースイッチ