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錦織はシャルディを寄せつけず、途中12ゲームを連取----肩の治療が唯一の〈失策〉 [全仏テニス]

6/2(金) 15:00配信

THE TENNIS DAILY

 フランス・パリで開催されている「全仏オープン」(5月28日~6月11日/クレーコーと)は大会5日目、男女のシングルス2回戦が行われ、ベスト32が出揃った。

錦織が地元フランスのシャルディを倒して2回戦突破 [全仏オープン]

 日本勢は唯一の生き残りである第8シードの錦織圭(日清食品)が、世界ランク74位のジェレミー・シャルディ(フランス)に6-3 6-0 7-6(5)で快勝。

 女子ダブルスでは土居美咲(ミキハウス)がシュアン・シージュン(台湾)とのペアで1回戦に臨んだが、わずか3ゲームで途中棄権し、リャン・チェン/ワン・チャン(ともに中国)に1-2で敗れた。先週のニュルンベルクで腹筋を痛め、シングルスの1回戦ではその影響から両脚に痛みが出ており、中一日で回復はしなかったようだ。得意の芝のシーズンは完治した姿で臨みたい。

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 1回戦で冷や汗をかいた分、どれほど安心して見ていられる試合だったか。しかし完全な安心というわけでもなかった。その内容からは、今後についてまったく異なる2つの見方ができるだろう。

 つい数週間前まで手首のケガの心配に神経を使っていたにもかかわらず、完全に主導権を握っていた第3セット3-0までの錦織を見れば、早くも上位進出を期待せずにはいられない。第1セット最初の2ゲームを互いにブレークしたあと、シャルディのビッグサーブを第8ゲームでふたたびブレークに成功。ここから錦織が一方的にゲームを重ねていく。打球音がズドンとおなかに響くようなショットは攻撃的で、ラケットの振り抜きにも自信が宿っていた。第1セットを6-3で手にすると、第2セットはベーグルスコア、そして第3セットはダブルブレークで3-0まで突き放した。

「凡ミスが減ったことなどが重なって、自分のいいプレーがどんどん増えてきた」と言った通り、第1セットと第2セットのアンフォーストエラーはわずか4本ずつしかなかった。特に第2セットになると、シャルディのビッグショットで攻め込むチャンスを与えない。第1セットで11本あったシャルディのウィナーが2本に激減した。この間のことをシャルディは「解決策が見つからなかった」と振り返る。

 ただ、時折、右腕の前側の付け根あたりを指で抑える仕草をするのが気になった。患部をかばって別の部位に影響を及ぼすということはよくあることだ。3-0としたあとにトレーナーが来て治療を受けた。

 シャルディは「あのおかげで、少し気持ちを落ち着かせることができた。彼のほうは少しリズムが崩れたように思う」と振り返り、錦織もまた「いい選択ではなかった」と反省した。しかしそれは結果論で、あの場面で呼んだのは〈悪化の不安〉という理由があったはずだ。2ブレークアップなら多少リズムが崩れても...とタカをくくった側面もあったかもしれない。

 ところが第4ゲームで1つブレークを許すと、第8ゲームで2度のデュースの末にブレークバックされて4-4。スタンドの収容人数3800人のこじんまりとした1番コートはほぼ満員で、意気消沈気味だったホームクラウドが突然湧き始めた。シャルディが第9ゲームをキープすると、ウェーブを巻き起こして「ジェレミー、ジェレミー」の大合唱。こういうムードは怖い。シャルディの武器のフォアハンドが右に左に炸裂する。

 苦しいところを耐えた錦織がタイブレークをものにし、終わってみればストレート勝ちだったが、肩の容態を重く見れば、この先の長い道のりに不安が過る。もう一つの見方とはそのことだ。もちろん、こちらははずれてほしいが...。

 3回戦の相手は、韓国の21歳、チョン・ヒョン。ATPの〈ネクスト・ジェネレーション・ランキング〉で3位につけているホープだ。韓国の若手には錦織が目標と語る選手も多く、チョンも例外ではない。韓国のテニスメディアも錦織との初対戦を心待ちにしていたという。グランドスラムでは滅多にない男子のアジア対決。新鮮で、楽しみな一戦だ。

(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)

最終更新:6/2(金) 15:00
THE TENNIS DAILY