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横浜F・マリノスが見せ始めた新たな変化とは?“強者”川崎F戦で自信を深められるか/コラム

6/2(金) 20:31配信

GOAL

エリク・モンバエルツ体制2年目となった2016年は、1年目の7位を下回る10位という不本意な順位でフィニッシュした。しかし2ndステージだけに限れば7勝8分2敗とまずまずの成績を収めている。この数字を『負けなかった』と捉えるか『勝ち切れなかった』と捉えるかは判断の分かれるところだが、一定の成果を見せたことは確かである。

齋藤学やマルティノスという個の打開能力に優れるプレーヤーを前面に押し出して勝ち点を積み上げた。特に終盤に向かうにつれて齋藤はリーグ屈指のアタッカーへと成長し、シーズン終了後にはベストイレブンに選出されている。逆サイドに位置するマルティノスも持ち前の快足を生かし、相手陣内にスペースがある場面で存在感を発揮。両者がリードする横浜F・マリノスのオフェンスは、いつからかポゼッションではなくカウンターに傾倒していった。

その戦術と相性が悪かったのが、オフにジュビロ磐田への移籍を選んだ中村俊輔である。2ndステージは負傷の影響もあってわずか4試合の出場にとどまった。だが仮に万全だったとしても戦術面での齟齬は避けられなかった。中村が「もっと大人のサッカーをしないといけない」とつぶやいたのは一度や二度ではない。良くも悪くも一本調子で単調なスタイルは、齋藤らキーマンの調子に左右される部分が大きく、チームとしても相手に研究されやすいことが明白だった。

その反省を受け、2017年に入るとモンバエルツ監督は「ポゼッションしてゲームをコントロールする狙い」を強めていく。サイドアタッカーを中心とするカウンターというストロングポイントを残しつつ、チームとしてコレクティブな戦いを目指していった。

しかし戦術進化は一筋縄にはいかない。開幕直後こそ昨季年間勝ち点1位の浦和レッズに3-2で競り勝ち、そして昇格組の北海道コンサドーレ札幌に3-0で完勝したが、いずれのゲームもボールを奪ってからの素早い攻撃が得点として結実した末の勝利だった。若返ったチームを好意的に評価するのは早計であり、一過性の勢いだけで判断するのには大きな危険をはらんでいた。

案の定、その後は一進一退が続き、思うように勝ち点が伸びない。第10節・サガン鳥栖戦からは選手が自主的に新たなチャレンジを試み始めた。試合は凡ミスから0-1で敗れたが、齋藤は「結果だけを見ると良くないけど、内容としては次につながる。変化を前向きに捉えたい」と上を向いた。齋藤やマルティノスがインサイドに入ることで選手間の距離が近くなり、コンビネーションによるシュートチャンスが生まれた。これまでのサイドアタック一辺倒からの脱却が始まった。

とはいえ一朝一夕で結果を出せるわけではない。最近3試合は2勝1分と一時期の不振を抜け出しかに見えるが、個の能力の総和で乗り切ったに過ぎない。チーム力や上積みという点では評価しにくい。

そこで対戦を迎えるのが川崎フロンターレである。対戦を控えて、ここまでフル出場を続けている天野純は自分たちと相手の違いをこう表現した。

「フロンターレは試合を圧倒的に支配するという戦い方のベースがある。監督が代わってマイナーチェンジがあったとしても、軸の部分はブレない。それを長年積み上げている。ウチとはその部分で差がある」

完成度という点で、残念ながら横浜FMは川崎Fの後塵を拝している。昨季のリーグ戦では2戦2敗と散々な結果に終わっただけでなく、どちらも完全にゲームを支配された。6月4日の対戦でも我慢と辛抱を強いられるのはほぼ間違いないだろう。

今季から主将に就任した齋藤は「簡単に強くなることはできない。強くなるために苦しみを味わうことも大切なこと」と覚悟を口にしている。チームの誰もが強者と認める川崎Fとの一戦は、トリコロールの意地を見せると同時に、今後への光明を見つける90分間にしたい。

文=藤井雅彦

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最終更新:6/2(金) 20:31
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