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社説[嘉手納 負担急増]政府は無策を恥じよ

6/2(金) 7:20配信

沖縄タイムス

 「基地負担軽減」をほごにする米軍の横暴がやまない。

 5月31日在韓米軍のU2偵察機3機が飛来、1996年のSACO合意で移設が決まった旧駐機場の格納庫に入った。この旧駐機場では2月にもKC135空中給油機3機の駐機が確認されている。

 旧駐機場は嘉手納町屋良に隣接し、長年米軍機のジェット噴射などによる騒音や悪臭被害の原因となっている。そのため嘉手納基地内の、集落から離れた場所に新たな駐機場を造り、移設することが合意された。

 新駐機場の整備には日本の税金157億円が使われ、合意から21年を経てことし1月ようやく移設条件が整った。それなのに、たった1カ月後の2月に旧駐機場使用が再開されたのである。

 いったん旧駐機場が使用されなくなった1月中旬には、それまで観測されていた黒色粒子と臭気レベル高濃度の頻度が、10分の1に減少したことが北海道大学グループの調査で判明した。駐機場移設が周辺住民の住環境の改善につながることは明白で、「どんな理由があっても断じて容認できない」という當山宏嘉手納町長の怒りは当然だ。

 同じくSACO合意で伊江島補助飛行場への訓練移転が決まった嘉手納基地のパラシュート降下訓練も、ことしに入り激化している。5月には復帰後初の夜間降下訓練が強行された。

 SACO合意違反の降下訓練が始まったのは直後の98年。日本政府は伊江島への移転作業が未完了ということを理由に、嘉手納での降下訓練を追認した。その結果、移転完了後も嘉手納での訓練が続いている。

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 嘉手納基地へは外来機飛来も後を絶たない。

 政府はこの間「基地負担軽減」の名の下、同基地の訓練移転を度々アピールしてきた。しかしふたを開けてみれば、5月は前述の偵察機3機はじめF16戦闘機12機、空中給油機KC130Jが飛来。4月は輸送機C2、情報収集機RC135V、F15戦闘機5機、電子偵察機RC135S4機、大気観測機WC135C。3月はE2D早期警戒機、MH60ヘリ、米軍C130輸送機-など次々と飛来し、新たな訓練が実施されている。

 基地負担の急激な増加は、1月のトランプ政権発足後に顕著で、軍事優先の同政権の意向に沿ったものと思われる。

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 政権の後ろ盾を得てか、米軍は旧駐機場の常時使用を通知。降下訓練に至っては、例外的な場合に使用を認めた「例外規定」を盾に訓練実施を正当化する。これに対し一方の当事者の日本政府はと言えば、夜間降下訓練の実施について稲田朋美防衛相が、事前通知がないことに懸念を表明したのみ。防衛省や外務省も、SACO合意との食い違いに懸念を示すものの米軍のやりたい放題を制御できていない。

 こうした実態を當山町長は「沖縄は米国の植民地ではない」と批判する。弱腰外交の末に、県民に負担を強要し続ける現状を政府は恥ずべきだ。

最終更新:6/2(金) 7:20
沖縄タイムス

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