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「植物工場」と「垂直農法」に活路-食の安全性巡り揺れる中国

6/2(金) 6:35配信

Bloomberg

中国農業科学院の「植物工場」で発光ダイオード(LED)の赤や青のライトで照らされたトマトのつるを調べているのは、農業環境可持続発展研究所の楊其長所長だ。最低限のエネルギーで、可視光スペクトルのどの部分が植物の光合成と成長に最適なのか検証している。

楊所長は「農薬も不要で、化学肥料を減らした安全な食品を生産できる」と話す。数十年にわたり10億人を超える国民の所得拡大を中国指導部は最優先課題としてきたが、「垂直農法」がこれを変えるかもしれない。農業科学院の植物工場は北京のコンクリートジャングルの真ん中にある。

急成長を遂げ世界2位の経済大国となった中国だが、石炭利用と重工業中心の発展で環境汚染が深刻化し、貴重な農地が食い荒らされている。十分な食料を確保するために海外市場への依存が急激に進んでおり、中国国家統計局によれば、大豆輸入は2015年に約312億ドル(約3兆4600億円)相当に達し、08年から43%増えた。その約3分の1は米国からの輸入だ。

トランプ政権下での米中貿易関係が不安定なことや世界的な資源獲得競争激化を踏まえ、中国は自国の土地の生産性を向上させる技術に注目している。李克強首相は今年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で「土壌汚染を厳しく調査し、この問題への対策を進展させ、実行する」と表明した。

農業近代化と農民の生活向上に向けたさまざまな取り組みを公的資金が支えている。政策銀行の中国農業発展銀行は、農業省が促す重要プロジェクトの資金を賄うため2020年末までに3兆元(4370億ドル)の提供を表明している。昨年の米国の農業生産額は4052億ドルだったと推計されている。

中国企業による海外での農業投資も奨励されている。中国化工集団(ケムチャイナ)がスイスの農薬・種子メーカー、シンジェンタを430億ドルで買収するが、それが最も大掛かりな事例だ。中国化工は種子テクノロジーを含む知的財産を手に入れる。

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最終更新:6/2(金) 6:35
Bloomberg