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ダイエットで見た「メルカリ経済」 体重計の送り主は

6/3(土) 11:10配信

ITmedia ビジネスオンライン

 「そうだ、メルカリで体重計を買おう」――アイティメディアに入社し、ITmedia ビジネスオンライン編集部で記者として働くようになってから丸2年。体重がいつの間にか4キロほど増加していた私は、ある日思い立ち、ベッドの上でゴロゴロしながらスマホアプリ「メルカリ」で体重計を検索した。それが意外な「メルカリ経済」の発見につながることも知らずに……。

【メルカリで遭遇したNGな取引】

 メルカリは日本最大のフリマアプリ。ダウンロード数は日米合計で6500万を突破し、1日の出品数は100万件を超えている。4月には「現金を定価以上の値段をつけて出品するユーザーが存在し、少なくない数が購入されている」という問題が起き、大きな話題を呼んだ。

 ……というと、なにやら怪しげなアプリのように聞こえるかもしれないが、普通に使っている分には「普通のフリマアプリ」。私もマンガを出品したり服を購入したりと、それなりに活用している。

 さて、メルカリを「体重計」で検索すると、1日に数十件の出品があり、いくつかは既に購入されている。メルカリは商品名を入力すると購入されやすい価格がサジェストされる仕組みになっているので、飛びぬけて安い商品も高い商品もない。見ていくと、大手電機メーカーの体重計(体脂肪や筋肉量も測れるタイプ)が新品2600円で出品されていた。同じ商品が2800円ほどで出ているので、割安感がある。

 やや悩んだが、7%引きのクーポンとメルカリポイントを利用すると、2000円を切るため、購入を決意した。ちなみにメルカリポイントとは、メルカリ内で使える通貨のようなもの。メルカリに出品した商品が購入されると、売り上げはポイントの形式で付与される。登録口座に振り込みをすることもできるが、少額であれば振込手数料がかかるため、アプリ内に“ためっぱなし”になっているユーザーも多い。

 購入して2時間、「発送しました」という連絡が届く。基本的に購入確定から発送までには1日ほど時間がかかるので、「やけに早いな」とは思った。しかし遅いよりかは早い方がありがたい……ということで、家で体重計の到着を待つことに。しかし到着した段ボールは、意外なものだった。

●送り主は意外な……

 メルカリはC2C(消費者間取引)アプリだ。基本的には送り主の住所や名前は届いたタイミングで分かる。だが、届いた段ボールに記載してあった送り主は――大手通販サイトだった。ここでようやく気付く。「これ、転売だー!」。

 出品者(仮にA氏としておく)は、メルカリ内での購入通知を確認すると、大手通販サイトで注文があった商品を購入。支払い情報はA氏のものだが、送り先は私の住所と名前を入力する。あとは通販サイトが勝手に配送してくれる――というわけだ。

 大手通販サイトで、私が購入した体重計の価格を調べてみた。2300円。メルカリ価格よりも300円安い。この300円の差額が、A氏の懐に入る仕組みだ。

 「転売ヤーの懐を潤してしまった!」と悔やむ気持ちはもちろんあるが、その一方で「まあ、勉強料かな。特に損をしてないし……」と思う気持ちもある。そのカギとなるのがメルカリポイントだ。

 大手通販サイトで買えば、クレジットカードの請求は2300円。一方、メルカリで購入した場合は、本来は2600円だが、割引と振り込みをせずに残っていたメルカリポイントを利用したために、請求は2000円になる。もちろんメルカリポイントは消えているのだが、なんとなく「2000円の支払いで済んだ」という気持ちになる。

 また、A氏の手元にそれほど多くの転売益が入らないであろうことも、やや留飲を下げる要因になる。メルカリでは10%の販売手数料がかかるので、A氏に入金されるのは2340円。通販サイトからの請求があるので、手元に残るのは40円だ。通販サイトのポイントは付与されるかもしれないが、現金では駄菓子くらいしか買えない。

 このような転売は「無在庫転売」と呼ばれている。出品手数料がかからないメルカリだからこそ盛んになる手口だ。こうした転売は一般的に業者がやっているようなイメージがあるが、出品したり購入したりを日常的に行っている一般ユーザーも「副業」として手を出していることがある。ネット上を検索すると、「楽に稼げる!」と誘うような情報商材も散見される。

 とはいえ、メルカリ側は規約で「手元にない商品を出品すること」を禁止している。つまり無在庫転売は規約違反であり、アカウント停止や売上金凍結の可能性がある。転売、ダメ、ゼッタイ。

●メルカリ経済

 さて、今回は知らず転売商品を購入してしまったが、メルカリでは意外と定価と同じくらい、もしくは定価より高く物が売れることがある。その要因は、先ほどご紹介したクーポンとメルカリポイントだ。「今、手元に現金はないけど、メルカリポイントがたまっているから商品を買える」というユーザーも存在している。

 自作ゲームを制作・販売している友人B氏は、「メルカリではゲームが高く売れる」と語っている。B氏は通販サイト「とらのあな」とAmazon、そしてメルカリの3チャンネルで、それぞれ違う価格でゲームを売っている。最も価格設定を高くしているのはメルカリだが、最も売れ行きがいいのもメルカリだという。

 「他の通販サイトを知らないという可能性ももちろんある。だが、出品や購入商品を見ていると、高校生くらいの利用者が、自分の物を売ってメルカリポイントを手に入れ、そのポイントでゲームを購入してくれているという行動が見えてくる。クレジットカードを持っていない若い利用者にとって、メルカリポイントはWeb上で手軽に利用できる通貨なのかもしれない」(B氏)

 いらない物を売って、得たポイントで新しく欲しい物を買う。メルカリというプラットフォームの中で、物がグルグル回っているイメージが頭に思い浮かぶ。ポイントを介してはいるが、どこか「物々交換」的でもあった。

本日の発見

 メルカリポイントから「メルカリ経済」が生まれている。高校生などクレジットカードが使えない層の中には、メルカリポイントを活用して買い物をしているユーザーもいるようだ。