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Surfaceファミリーに息づく日本の“モノづくり精神”

6/3(土) 10:05配信

ITmedia エンタープライズ

 日本マイクロソフトは、第5世代となる新たな「Surface Pro」や、既に米国で販売されている「Surface Studio」および「Surface Dial」を2017年6月15日から日本で販売すると発表した。「Surface Laptop」も7月20日に発売する。

【画像】キーボードやパームレストにスエード調のアルカンターラ素材を採用している

 既に販売している「Surface Book」や「Surface Hub」に、これらの製品が加わることで、Surfaceのラインアップが一気に広がることになる。

 米MicrosoftのMicrosoft Surface担当コーポレートバイスプレジデント(CVP)のパノス・パネイ(Panos Panay)氏は、「プレミアム領域におけるフルラインアップを整えることができた」と、一連の品ぞろえが完了したことを宣言した。

 Surfaceの第1号製品が登場したのは、2012年6月のこと。登場からちょうど5年を迎えるわけだ。当初は、2in1 PCという新たな領域を開拓するデバイスと位置付けられてきたSurfaceだが、オールインワンのSurface Studioや、クラムシェル型のSurface Laptopなどの投入によって、既存の製品領域にも進出している。

●こだわりの質感でプレミアム市場に照準

 しかしSurfaceは、既存領域で他社と競合するのではなく、プレミアム領域をターゲットとすることを選んでいる。その最たるものがSurface Bookだろう。GPUの搭載によって実現する高い性能は、クリエイターの使用にも耐えうるスペックであり、まさにプレミアムを象徴するものだ。そして、新たに追加されたSurface Laptopも、プレミアム領域を狙っている。

 パネイ氏は、「Surface Laptopは、質感を非常に大切にした製品」と前置きし、「どの角度から見ても余計な線がなく、ネジも見えない。そして、ヒンジも見えない。また、アルミニウムの天板とキーボードがぴったりと合うように、少しの狂いもないデザインを実現している」と胸を張る。

 特にパネイ氏がアピールするのが、ディスプレイ部を閉じるときの音だ。

 「『パタッ』という音は、エレクトロニクス機器を使っているときの音というより、豪華な本を閉じたときのような感覚を覚えるはず。そこまでSurface Laptopでは、質感にこだわっている」(パネイ氏)

 新たに投入したSurface Proも、進化を遂げている。CPUには第7世代のインテル Coreプロセッサを搭載。「Surface Pro 3」よりも2.5倍の性能を実現し、最大13.5時間の連続駆動時間を達成している。

 特に大きな進化を感じるのが、ペン入力時の使い勝手だ。「Surface Pen」では、4096段階の筆圧感知機能や傾き検知機能による高い精度と、レイテンシを21ミリ秒まで縮めた応答速度により、これまで以上にスムーズに線や文字を書ける。また、筆圧や角度に合わせて線の太さが変わるなど、まさに本物のペンのように使えるのだ。

 そして、165度という角度にまで倒せるようにしたのも、ペン入力をスムーズに行うための工夫だ。この角度は、Surface Studioの経験を生かしたもので、「Studioモード」と呼ばれている。実際には、Surface Studioの150度に比べるともう少し傾いているが、「これは意図的なもの」と、パネイ氏は説明する。

 「ディスプレイサイズがSurface Studioよりも小さいSurface Proで、ディスプレイ上に手を置きながら書いた場合に最も書きやすい角度を求めた結果だ」(パネイ氏)

 この角度を実現するために新たにヒンジを開発しており、この部分だけでも、カスタマイズした20種類の部品を使っているという。

 パネイ氏は、「新たなSurface Proは、Microsoftにとって、最高のパフォーマンスを持つ最高の製品に仕上がった」と自信をみせる。

 その自信は製品名にも込められている。新たなSurface Proは、順当にいけば、「Surface Pro 5」という名称が付くはずだった。だが、新製品にはそのナンバーが付かなかった。

 「Surface Proで、ナンバーが付与されてきたのは、世代ごとに機能や性能が進化してきたことを示したものだったが、今回のSurface Proは、われわれが完璧さを追求してきた結果、誕生したデバイス。Surface Proの決定打であり、それを総称する名称としてナンバーを付けずに、Surface Proと呼ぶことにした。ここまで作り上げることができなかったら、Surface Pro 5という名称を付けていたかもしれない。それだけの自信を持った製品に仕上がっている」(パネイ氏)

 見た目の変化は少ないが、その進化と完成度は過去最高のものというわけだ。

●日本の“モノづくり魂”をSurfaceファミリーに継承

 今回、日本でもついに全てのSurfaceファミリー製品が投入されることになった。パネイ氏は、「プレミアム領域におけるフルラインアップを整えることができ、顧客に選択肢を与えるためのポートフォリオが『完全』にそろった」と語る。フルラインアップや完全という表現を用いるところに、5年をかけて目指してきたSurfaceファミリーの1つの完成形がこの姿であることを示しているといえよう。

 実は、パネイ氏は、日本の企業に務めていたことがある。2004年に米Microsoftに入社するまでの5年間、ミネベア(現ミネベアミツミ)の米国子会社であるNMB Technologies(旧Nippon Miniature Bearing Corpration)で働いていたのだ。

 「私が、日本の企業に在籍していたときに感じたのは、日本のエンジニアの仕事の仕方や、モノづくりに対する姿勢が、世界最高水準のものであるということだった。私は、それをMicrosoftのエンジニアたちにも継承した。いまのSurfaceの設計者、開発者の職人芸ともいえるこだわりには、日本のエンジニアの姿勢に通じるものを感じる。つまり、Surfaceのモノづくりには、日本のモノづくりのこだわりが反映されている」(パネイ氏)

 Surface LaptopやSurface Studioのディテールの仕上げなどを例に挙げながら、「これを見ると、日本人の設計エンジニアたちが完璧に仕上げることに情熱を賭けていたことを思い出す」と振り返る。日本人が追求する緻密なディテールの仕上がりが、Surfaceファミリーに生かされているというわけだ。

 「だからこそ、日本人がSurfaceを見ると、これがプレミアム分野の製品であると直感的に分かってもらえる。日本のユーザーは、そうした点を評価する人たちである。日本でSurfaceが受け入れられている理由はそこにある」(パネイ氏)

 Surfaceの技術を統括するパネイ氏の存在は、Surfaceの製品化に日本のモノづくりの姿勢を反映することにつながっている。