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小島慶子が語る 忖度の時代に「直言」を全うする意義とは

6/3(土) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

コラム【スペシャルインタビュー】

 TBSを退社して7年。小島慶子さん(44)は、14年2月に生活の拠点をオーストラリアのパースへ移しながらも、独自の“出稼ぎスタイル”で活躍中だ。テレビやツイッターでの発言は、ネットニュースや雑誌でたびたび取り上げられ、物議を醸している。世は忖度の時代。はっきりと主張するスタンスは風当たりも強そうだが、本人はいたって自然体だ。

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 それにしてもこの7年、あっという間でした。会社を辞めたのは、企業の発表係ではなく、自分のパーソナリティーが商品になる仕事の方が性に合っていると思ったからです。いまでこそ笑い話ですが、「それではCMの後、衝撃のVTRです」といった一行のカンペすらまともに読めない局アナでした。決められたコメントだとつっかえちゃう。それはきっと我が強い脳ミソに原因があるからなんだろうと考え、局アナには不向きだなと(苦笑い)。発表係を本分とする仕事の適性がないことに、15年かかって気づいたのです。

 私はエゴサーチの類いは一切やりません。人前に出る仕事は〈よりまし〉や〈かたしろ〉のようなものだと思っています。視聴者は、自身の思いやイメージを流しびなのように出演者に乗せて流してスッキリするもの。好きや嫌い、共感する、反感を持つなどの心の動きは、他人がコントロールできるものではありません。

 ただ、メディアで発言する者として、世の中の空気がギスギスしたり、人が傷ついたり嫌な思いをしたりしないように心がけています。放送局の社員だったこともあり、公の場で発言することの影響力や意義について考える習慣がつきました。バラエティーだろうが報道だろうが、テレビの発言はショーであり、日常会話とは違います。

 私自身そうですが、自宅でテレビやラジオを見聞きする時って、着慣れた普段着でリラックスして、無防備な状態であることが多いですよね。身構えていないぶん、良いことも悪いことも心に刺さりやすかったりする。テレビの出演者同士は了承済みのじゃれあいのつもりの会話でも、表現次第で人を不快にしたり、差別を助長することがあります。

 そうそう、たまに「毒舌キャラで」とお願いされることがありますが、何とかキャラっていうのもよく分かりません。思っていることを発言するだけで「毒舌」だなんて、ずいぶん安易なネーミングだなと(笑い)。「毒舌」は、高い技術が必要なんですよ。ただ思うことを言うのは、「直言」です。私はそっち。だからときどき、「あの……毒舌の意味、辞書で引きました?」って尋ねてます。齢44、いろいろ考える今日この頃です。

▽こじま・けいこ 1972年、豪州生まれ。学習院大学法学部卒業後、TBSアナウンサーに。2010年の退社以降、タレント、エッセイストなどとして活動。現在は家族の拠点を豪パースに移し、自身は日本と往復する生活を送っている。4月に最新刊の小説「ホライズン」(文藝春秋)を上梓したばかり。