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中央銀行の従業員がストライキ実施?

6/3(土) 18:10配信

ZUU online

中央銀行の受付およびサービス部署の従業員が賃金交渉に向け、ストライキの実施を決める無記名投票を行っていることが分かった。

その国は英国だ。一部の従業員は年間所得中央値、2万7200ポンド (約383万円/ONS2016年調査) を大きく下回る、2万ポンド(約287万円)という低賃金での生活を余儀なくされているという。

■カーニー総裁の報酬総額は1億円以上

ストライキ投票は英最大規模を誇る労働組合「ユナイテッド・ザ・ユニオン」 が、加盟メンバーであるBoEの従業員を対象に6月下旬まで受けつけている。賃金交渉を求めているのは、BoEの中でも低所得層に属する受付・サービス・施設部署の従業員だ。投票の詳細は公表されていないが、英ファイナンシャル・タイムズ紙はBoEの総従業員4000人の2%以下が、投票に参加していると推測している。

BoEは2017年に入り従業員の給与総支給額を1%引きあげたものの、各従業員の昇給は上司が決定する。実質的には公共支出削減を唱える政府によって、昇給の上限が1%に定められている。

トップと低所得層の給与差が過度に開いていることは一目瞭然だ。カーニー総裁は低所得層従業員の24倍に値する給与だけではなく、年金給与などを含む総額87万9485ポンド(約 1億2497万円)の報酬を得ていることになる。

■BoE「賃金上昇、インフレに楽観的すぎた」が、対策はなし

消費者支出への依存から、EU離脱決定直後は予想外の伸びを見せた英経済だが、時間の経過とともにBrexitの現実が浮き彫りになってきた。

Brexitの影響でインフレが加速し、2017年5月の時点でBoEの予測をはるかに超える2.6%を記録。年内には3%に達すると見こまれている。それに加えて住宅費の高騰や社会福祉制度の縮小が、低所得層の家計を中心に圧力を加えているという状況だ。個人負債額も記録的な数字に達している。

BoEは最近になってようやく、「賃金上昇率とインフレ率への見解が楽観的すぎた」ことを認めているが、現時点では利上げなど具体的な対応策を提示していない。
英財政問題研究会(IFS)は、「英国の労働者は15年にわたる賃金上昇凍結に直面している」 と指摘している。

■BoEの所得格差は英国経済の現状?

近年、格差問題にも積極的に取り組む姿勢を見せているBoE内部で、こうした所得格差が根強い事実は、伝統的な制度に根本的な改革が不可欠であることを示しているのではないだろうか。

総選挙を目前にひかえた英国では、いずれの政党も「格差の縮小」をスローガンのひとつに掲げ、それぞれの手法で国民を煽りたてているものの、実現するか否かという点では大いに疑問が残る。

いずれにせよ一国の経済を牛耳る中央銀行ですら、全従業員に十分な所得を支給できていない現状が、英国経済の根本的な脆弱性を象徴している気がしてならない。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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最終更新:6/3(土) 18:10
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