ここから本文です

【インタビュー】タンカード「今もなお最高に楽しんでいるよ」

6/5(月) 18:13配信

BARKS

陶器製のビール・ジョッキを意味するTANKARDをバンド名に選んだドイツのスラッシュ・メタル・バンドが、その歴史の35周年を記念する最新作『ONE FOOT IN THE GRAVE』を完成させた。ビールを題材にした曲はあるにはあるが、今回は昨今の世界情勢を鑑みて、よりシリアスな内容の歌詞も多い。その歌詞に合わせてなのか、音楽的にもドラマティックと形容可能なものも何曲かあったりする。

◆タンカード画像

充実の最新作『ワン・フット・イン・ザ・グレイヴ』について、ボーカル担当のアンドレアス“ゲッレ”ゲレミアが話してくれた。

――前作『REST IN BEER』のリリースにともなう活動はいかがでしたか?どういった国や地域をツアーしたのでしょうか。

ゲッレ:俺達は全員が普通の仕事に就いているから、大々的なツアーをすることはできないんだ。最大限やれることをやるだけでね。でも、去年は南米でちょっとしたツアーをすることができた。10日間で9回ショウをやり8ヵ国を訪れたんだ。あれはかなりクールな体験になったね。沢山のフェスティバルでプレイした。日本に行ったのは1999年のことになるから、日本にも是非戻りたいと思っているんだよ。それが実現したら本当に最高だな。

――あなた方にとって、ツアー活動とは?

ゲッレ:俺達はスタジオに入るよりもライブでプレイしている方が好きだし、ステージの上にいれば人々と大量のエネルギーのやり取りができる。俺達も沢山のエネルギーを放出するし、彼らからも沢山返ってくる。あれは本当に凄い感覚だよ。俺達は2ヵ月ものツアーに出たりはしないけれど、できるだけプレイしているし、いつも凄く楽しくやっているよ。4週間もショウがないと、それは俺達にとって嬉しいことではないね。ステージに立って人々にパワーを提供し、人々からパワーをもらいたいんだ。

――これまでのツアー活動で最も驚いた経験はどんなことですか?

ゲッレ:これまでで一番驚いたこと?そりゃ南米のファンだよ。凄くクレイジーなんだ。コロンビアのボゴタに行った時にはまるでザ・ビートルズが到着したようだった。やたらと触ってくるし俺達から何でももらおうとするんだ。あそこのファンが一番クレイジーなファンだと思う。

――気に入った?

ゲッレ:ああ、もちろんさ。でも南米の一部の地域ではちょっと注意も必要だ。人々がクレイジーになり過ぎることがあるからね。

――新作は17枚目のアルバムですが、ドイツのスラッシュ・メタル・バンドとしては最も多産なバンドはタンカードかもしれません。途中で解散したり活動停止したりしていたバンドも多いですが、あなた方はずっと続けてきました。

ゲッレ:ああ、俺達は諦めなかったことを嬉しく思っているよ。俺達には「Not One Day Dead」という曲がある。苦しいこともたくさんあったし、1090年代の半ばから1990年代が終わるまではスラッシュ・メタルの人気があまり高くなくて、どのバンドもショーの本数も減ったし、誰もスラッシュにはもう興味を持っていない時代だった。でもタンカードにとって一番大事なのは、あの時期にプレイするのをやめなかったことだ。それに、そんな音楽をプレイして俺達は凄く楽しんでいたからね。その後、2000年になってスラッシュの人気が少し復活してきて、タンカードはまだ健在だ、一度も諦めなかった。リユニオンも何も関係ないと言われるようになった。俺達はやり続けてきたことを誇りに思っているし、今もメタル・シーンの一部になっていられることをとても嬉しく思っているよ。

――やり始めた時は、ここまで長続きすると思っていましたか?

ゲッレ:35年もかい?まさか、そんなことは思いもしなかったよ。今では大勢の人達から訊かれるんだ。このアルバム・タイトルは、何かを示唆しているのか、これは最後のアルバムなのか、もう止めたいのか?と。そうじゃないよ(笑)、タイトルは、タンカード独特のユーモアだよ。俺達の年齢のことやバンドが何年続いているかを表現しているんだ。今は1つの区切りでもあるから、俺達は次の35年間を凄く楽しみにしている。もしかしたら、次のアルバムのタイトルは『ONE FOOT OUT OF THE GRAVE』になるかもしれない(笑)。

――『ONE FOOT IN THE GRAVE』の制作は順調でしたか?

ゲッレ:時間のプレッシャーは凄くあったけど、曲は俺達のハートから直接出てきたものだよ。新しいアルバムの準備というのは、いつだって大変な仕事なんだ。今はレコーディングも終わりプロダクションも終了して、リリース日を楽しみに待つばかりになっている状態だから、凄くハッピーだよ。

――アルバムでは色々なテーマが扱われています。「Pay To Pray」は宗教について、「Arena Of The True Lies」はソーシャル・メディアに翻弄される現代社会について、「Don't Bullshit Us!」はメタル関係者達の鬱憤について、「One Foot In The Grave」はビールについて…。

ゲッレ:いや、それはビールについてじゃないよ。俺達の年齢についてさ(笑)。どんどん歳を取っていって、いずれ車椅子のお世話になるかもしれないけれど、それでもヘヴィ・メタルはプレイし続けている、というのがタイトル・トラックの内容だ。

――「Syrian Nightmare」はシリア情勢についですね?

ゲッレ:俺達は昔からシリアスなテーマと滑稽な歌詞を融合させようとしているし、愉快な曲もアルバムに入れるようにしている。今は特に誰もが俺達に「タンカードはどんどんシリアスになってきている、政治的なことなんかについてシリアスな曲がアルバムに増えてきている」と言うけれど、昔からそうだった。まあ、今俺達が生きているのがこういう時代だから、テロリズムや戦争や紛争などを見ていると、以前よりシリアスなテーマに焦点が絞られるようになっているのは事実だ。支持できるリーダーが今の世界には一体何人いると言えるだろう。世界の総ての状況を見ていると、今はシリアスなタンカードが強調されていると言えるよ。

――実体験を題材にしているのは変わらないようですね?

ゲッレ:いつも世界で起こっていること、起こったことにインスパイアされているよ。俺達は2ndアルバム『CHEMICAL INVASION』(1987年)から書いている。だからタンカードが特に新しくやるようになったことではない。ただ、今は人々の注目もこのアルバムのシリアスな歌詞の方に集まっていると思う。それは俺達にとっても全く問題はない。

――愉快な歌詞の方は実話もあるのだとか。

ゲッレ:俺達のマネージャーを題材にした凄く笑える曲があるんだ。「Sole Grinder」がそれ。彼はそのことを知らなかったんだよ。リスニング・セッションの時に初めて知った(笑)。「あいつは、のんびり座ってタンカードで稼いだ金で食べていて、彼は俺達を世界中に送り込むけれど、どのホテルも酷いところだ」という愉快な歌詞だよ。典型的なタンカードのユーモアと言えるだろうな。

――「Northern Crown(Lament Of The Undead King)」はファンタジー調というか物語的に読めたのですが、実際のところは?

ゲッレ:これは王や剣や戦争について歌っているヴァイキング・メタル・バンドのパロディなんだ。だから皮肉な曲でもある。このアルバムでは傑出した曲じゃないかな。コーラスはヴァイキング・メタルの曲でも通用しそうだと俺は思っている。これも、このアルバムで試したいつもとはちょっと違うことで、凄く楽しかった。

――「The Evil That Men Display」は興味深いです。ジュリアス・シーザーの言葉を引用しつつ日常のひとこまを物語風に書き上げているように読めますが、実際のところは?

ゲッレ:これはあるフェスティバルで実際に起こったことを基にしているんだ。俺達が出たフェスに、顔にペイントを施したり黒に身を包んだりしたバンドもいくつか出ていて、俺達のドラマーは怯えていて俺達はそれを見て大笑いしていたんだ。だから、これについても曲を書かなくてはいけないと思ったのさ。ブラック・メタル・バンドはそういう格好をしているからね。そういう連中に出くわした俺達のドラマーが不安がっていたのが面白かったんだ(笑)。

――遠まわしにブラック・メタルを題材にした歌詞ということですか?

ゲッレ:ブラック・メタル全般についてじゃないけれどね。一部のペイントをしている奴らのことという感じかな。俺達も大昔ブラック・メタル・ソングをやったよ。1989年のことだ。「666 Packs」を覚えているんじゃないかな。666という数字で、6 packというのはビール6缶ということだよ。

――アルバム発売後は?

ゲッレ:まずはできるだけたくさんプロモーション活動をして、インタビューにもできるだけ応じるようにしているし、タイトル・トラック「One Foot In The Grave」のビデオも作る。それから、世界最大のメタル・フェス<WACKEN>にもまた出るよ。年末には俺達のホームであるフランクフルト市で特別なショーをやる。HOLY MOSESやPERZONAL WARといった友人達と一緒にね。スペシャル・パーティーみたいなものは特に開かないけれど、俺達は、今もまだこうしてここにいること、できる限りプレイできていることを嬉しく思っているよ。

取材・文:奥野高久/BURRN!
Photo by Axel Jusseits

タンカード『ワン・フット・イン・ザ・グレイヴ』
2017年6月2日 世界同時発売
【30セット通販限定 CD+ライブCD+Tシャツ】¥5,500+税
【初回限定盤CD+ライブCD】 ¥3,000+税
【通常盤CD】¥2,300+税
※日本語解説書封入/歌詞対訳付き
1.ペイ・トゥ・プレイ
2.アリーナ・オブ・ザ・トゥルー・ライズ
3.ドント・ブルシット・アス!
4.ワン・フット・イン・ザ・グレイヴ
5.シリア・ナイトメア
6.ノーザン・クラウン(ラメント・オブ・ザ・アンデッド・キング)
7.ロック・エム・アップ!
8.ジ・イーヴル・ザット・メン・ディスプレイ
9.シークレット・オーダー 1516
10.ソール・グラインダー
ライブCD〔2016年5月13日 ライブ・アット・ロック・ハード・フェスティバル〕
1.イントロ
2.ゾンビ・アタック
3.ザ・モーニング・アフター
4.フールド・バイ・ユア・ガッツ
5.ラピッド・ファイア(ア・タイランツ・エレジー)
6.ルールズ・フォー・フールズ
7.R.I.B.(レスト・イン・ビア)
8.メタル・トゥ・メタル
9.ノット・ワン・デイ・デッド
10.ケミカル・インヴェイジョン
11.ア・ガール・コールド・セルヴェッサ
12.レクティファイア
13.エンプティ(タンカード)

【メンバー】
アンドレアス“ゲッレ”ジェレミア(ボーカル)
アンディ・グッチャー(ギター)
フランク・トールワース(ベース)
オラフ・ジゼル(ドラムス)

最終更新:6/5(月) 18:13
BARKS