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寝ているだけでも「労働時間」? 宿直勤務の警備員に180万円が支払われたワケ

6/3(土) 9:52配信

弁護士ドットコム

イオンの関連会社で警備にあたっていた男性社員(52)が、宿直の仮眠は労働時間にあたるとして、未払いの賃金などを求めた裁判で千葉地裁は5月17日、仮眠時間を労働時間と認めて、会社側に約180万円の支払いを命じた。

報道によると、男性は東京都内や千葉市でスーパーの警備をしており、24時間勤務の際には未明に4~5時間の仮眠時間が定められていたという。判決を受けて、この会社では6月1日、全従業員およそ2000人と退職者を対象に、未払い残業代がないか調査することを決めた。

今回の判決では、警備会社で働く男性の宿直勤務中の仮眠が労働時間と認められたが、一般的に仮眠が労働時間と認められるにはどんな条件が必要なのだろうか。大山弘通弁護士に聞いた。

●仮眠であっても、「何かが起きれば対応が必要」なら労働時間

「今回の判決は、当然の判断といえます」と大山弁護士は語る。

「ニュースによれば、原告側は仮眠時間でも制服を脱がず、異常があった際はすぐに対応できる状態を保ったままの仮眠で、『業務から解放されなかった』と主張しました。

これに対し、裁判長は仮眠時間とされていても、『労働から解放されているとは言えない』と指摘したとのことです。これまでの裁判例をふまえた当然の指摘でしょう」

これまでの裁判例では、仮眠はどのように扱われていたのだろうか。

「一般的に、仮眠時間が労働時間に当たるかは、労働者が使用者の指揮命令下におかれているかどうかで決まります。指揮命令下にあるとは、分かりやすくいえば、労働者が出勤して使用者の命令の下で働いている時間です。

ただし、勤務中のすべての時間が労働時間となるわけではありません。休憩時間や仮眠時間のように、労働者が労働から解放され使用者の命令から脱していれば、指揮命令下にないので労働時間ではありません」

では、どうして今回、仮眠時間が労働時間と認められたのか。

「指揮命令下にないというためには、労働者が労働から解放されることが保障されていなければなりません。

例えば、休憩時間や仮眠時間とされていても、来客の応対が義務付けられているなど、何かあれば仕事をしなければならないのであれば、その対応に常に備えていなければなりません。労働から解放されることが保障されているとはいえませんので、指揮命令下にあることになります。

今回の事件では、警備員は制服を着たまま寝ており、異常があった際はすぐに対応できる状態だったわけですから、労働時間と判断されました。たとえば、夜勤の医療関係者や当直の新聞記者なども、仮眠時間が労働時間になる可能性があります」

【取材協力弁護士】
大山 弘通(おおやま・ひろみつ)弁護士
労働者側の労働事件を特に重点的に取り扱っている。労働組合を通じての依頼も数多く、もちろん個人からの相談も多い。労働事件は、早期の処理が大事であり、早い段階からの相談が特に望まれる。大阪労働者弁護団に所属。
事務所名:大山・中島法律事務所
事務所URL:http://on-law.jp/

弁護士ドットコムニュース編集部