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農業女子 光る発想 企業「現場視点が魅力」コラボ28社ヒット続々 農水省プロジェクト

6/3(土) 7:01配信

日本農業新聞

 農水省が進める「農業女子プロジェクト」と連携する企業数が5月時点で28社、登録した女性農業者が595人に広がっている。胸の谷間が見えず肩ひもがずれない下着や、玄関を汚さず土足のまま通れる土間のある家など、農家の視点を反映した商品が続々登場。他にも化粧品、旅行、食品など多岐にわたる。

“谷間”見えぬブラ×ワコール 農作業 堂々と

 「夏の農作業は下着で肌がかぶれる」「ブラジャーのひもがずれても、手が土で汚れていて直せない」。女性農業者の悩みを解決したブラジャーとショーツが5月に発売された。手掛けたのは、下着メーカー大手のワコール。同社は今年2月以降、農業女子15人の意見を取り入れ肌着やタイツを販売してきた。

 下着は肌にぴったりとフィットする生地を使い、胸の部分は二重にして、かがんでも谷間が見えにくくなっている。肩の部分はひもにせず、太くした。汗をかいても、速乾性がありさらさらとした肌触りが保てる。

 同社総合企画室の鈴木洋子さんは「トラクターに乗った際の胸の揺れが気になるなど、農業をしている女性にしか分からない声が聞け参考になった」と、農業女子をビジネスパートナーとして評価する。売れ行きは好調で、一般の女性にも人気だという。

 参加した群馬県みなかみ町のリンゴ農家、原沢智子さん(47)は「かがんでも胸の谷間が見えず涼しい。男性の中でも堂々と作業ができる」と満足する。

 農水省の担当者は「女性農業者用の下着は、農業の世界では、これまで考えられなかった画期的な商品」と高く評価する。

土間のある家×東洋ハウジング 汚れ気にせず

 家も登場した。東洋ハウジングは「長靴や野菜などを玄関に置くと泥が付き、掃除が大変」との意見を取り入れ、土間のある家「nagomino N―jyo(なごみのえぬじょ)」を2016年に開発した。土間は広く、扉を開放するとマルシェも開ける。「農作業をしながら子育てをする農業女子のアイデアで、地域密着型の家造りに生かせた」と経営企画室の小野田喜一さんは話す。

 同社は人が集まれるコミュニティースペース「N―jyo koya(えぬじょこや)」も開発。キッチンを広くし、多目的室を備えた。千葉県流山市でモデルハウスを貸し出しており、横芝光町で野菜を生産する竹内朱紀さん(37)はここで開くマルシェに参加する。竹内さんは「広いキッチンで料理教室も開き、食育活動もしたい」と意気込む。

 農業女子プロジェクトは13年11月、37人のメンバーと参画企業9社で始まった。これまでに開発した商品は耕運機、農場に設置する女性用トイレ、化粧品など幅広い。シャープは、農業女子のアイデアを取り入れたオーブンを販売している。

 旅行会社のエイチ・アイ・エスは、農業女子の生産現場を訪れるツアーを企画。5月末には、消費者が東日本大震災の被災地、福島県で活躍する農業女子を訪ねるツアーが実施されたばかりだ。

 農水省女性活躍推進室の久保香代子室長は「農業女子は、仕事と子育てや家事をこなしている人が多く、働く女性をターゲットにした商品を開発する際に参考になる」と言う。「農業女子のメンバーは、一層の拡大が予想される。女性農業者のニーズをつかみ、それに合った企業を巻き込んでいきたい」と今後の計画を話す。(高内杏奈)

日本農業新聞

最終更新:6/3(土) 7:01
日本農業新聞