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もう甘いビジネス慣行は許されない。メガバンク、年1000億円コスト削減へ急ぐ

6/3(土) 9:26配信

ニュースイッチ

店舗刷新やデジタル化で業務効率化、

 三井住友フィナンシャルグループ(FG)は2019年度までに年間500億円、19年度以降に同1000億円のコスト削減を進める。店舗の刷新やデジタル化で業務プロセスを見直す。三菱UFJフィナンシャル・グループも23年度に同1200億円、みずほフィナンシャルグループも20年度に15年度比1000億円のコスト減を目指す。各グループともマイナス金利の導入や競争激化で、業務の効率性を示す「経費率」が悪化しており、コスト構造改革を急ぐ。

 三井住友FGは、三井住友銀行銀座支店(東京都中央区)で先行導入したペーパーレス化を19年度までに国内の全430店舗に広げる。「店舗数は維持しながら、次世代型の店舗に移行する。その過程で事務を効率化していく」(国部毅社長)。店舗刷新だけで年間200億円のコスト減を見込む。傘下の証券2社の統合もコスト減につなげる。

 三菱UFJFGもデジタル化を、業務プロセスの効率化や顧客の利便性向上につなげる。収益拡大とコスト減を合わせ23年度に、本業のもうけを示す「営業純益」を同3000億円押し上げる計画だ。

 みずほFGは銀行、証券、信託が全国展開する計800店舗を今後3―4年間で、1―2割程度減らす計画。銀行・証券・信託すべてのサービスを行う中核店と、相談業務に特化した少人数店を各地域に配置する体制に改めコストを削る。デジタル化やロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を「業務全般に広げ、コスト構造を大幅に改善する」(佐藤康博社長)。開発中の次期システム始動によるコスト減効果も見込む。

 各グループともコスト減を進めてきたが16年度は「粗利益」が振るわず、経費率は軒並み悪化した。今後も収益環境の改善が見込めないとみている。このため短期的には投資がかさむものの、中期的な収益体質強化を見据え、抜本的な構造改革に乗り出している。業務プロセス効率化に伴い浮いた人材は、成長分野に再配置する方針だ。

次は固定費か

<専門家の見方>
 銀行は、いわば電力会社の総括原価方式と同様、経費を預金者や融資先に転嫁すること、そして長短金利差で収益を確保している。しかしこの低金利とイールドカーブのフラット化がそうした甘いビジネス慣行を許さなくなりつつある。次に取れる手段は、自ら固定費を引き下げることであり、日本のメガバンクにはまだまだその余地がある。
(ニューホライズンキャピタル会長兼社長・安東泰志氏)