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嬉野D『水どう』20年続く秘けつは「自分にウソをつかない」(インタビュー前編)【動画付き】

6/3(土) 15:11配信

オリコン

(C)ORICON NewS inc.

 1996年に北海道の深夜ローカル番組としてスタートし、今なお全国に熱狂的なファンを持つ北海道テレビ(HTB)のバラエティー『水曜どうでしょう』を、放送開始からカメラに収めてきた嬉野雅道ディクレクターが、2冊目の著書『ぬかよろこび』(KADOKAWA刊)を5月25日に発売した。現在撮影中の4年ぶりとなる新作で、節目の20年を越えたどうでしょうを“うれしー流の視点”で分析。番組の中心となる4人に共通する仕事観を語った。

■変えてはいけないのは自分に正直なところ

 当初は半年で終わる予定だった『水曜どうでしょう』。現在は数年に1度、集合して新作を撮るスタイルになったが、放送開始から20年を超えるお化け番組となった。今や引っ張りだこの俳優・大泉洋、その大泉が所属する事務所の会長など幅広く活躍している鈴井貴之、舞台にも出演するなど枠にとらわれない活動をする藤村忠寿ディレクター、そして2冊目の著書を出版する嬉野Dなど、動きは活発化の一途をたどる。

 4人揃って多忙だが、それが新作のペースが遅くなった理由ではないという。嬉野Dは「4人の中で誰でもいいからやりたいという熱意をもったらやる。今、撮っているけどね」と笑った。嬉野Dはファインダー越しに誰よりも先に『水どう』を見続け、大泉、藤村Dから「視聴者の方」とイジられることもある。そんな“第一の視聴者”として20年前と新作で変わった部分について聞くと「本質は変わらない。(出演する)4人は変わらないからね」と持論を語った。

 では、変えてはいけない部分はどこなのか。嬉野Dは少し思案して「変えちゃいけないのは、自分に正直なところ。本当に面白いから笑う。本当に面白く思ってないのに笑ってみるとか、自分にウソつくのはやってはいけない」ときっぱり。これについて4人の中では話をしたことはないというが、嬉野Dは確信を持っているという。「性質的にそうなっていたのかも。撮影が本当に楽しいっていうのがあった。北海道212市町村の旅のパート1と2、その間のヨーロッパ行った3連作を今、見返しても本当に楽しそう。人間があそこまで楽しそうにしていると、見ている人は『楽しそうだな、友だちになりたいな』って思う。だって、オレも見て思ったもん。それをやれたら、商売も繁盛する。『この着物がいいんですよ』『この織りはいいんですよ』って本当に思う人が物の価値を生むんだよね。これだけ『どうでしょう』が共感してもらえたのは、そういうところじゃないかな。面白おかしいっていうことがありながら、本当に楽しかったんだというウソのない歴史がある」と力強く語った。

■加齢に合わせて撮影も変化 カメラは重いので「iPhoneで撮ってもいいような」

 いつまでも変わらないどうでしょう軍団だが、年には抗えないという。「年も取る。それは大きいと思うよ。飽きっぽくなるとか我慢が続かないとか。そういうものと折り合いをつけながらやっていくということが『一生、どうでしょうする』ってことだと思う」と苦笑い。嬉野Dの中で変わった点については「カメラが重い(笑)。だから軽いものに変えていきたい。三脚にすえたようなガチっとした絵がほしいけど、三脚にすえたら動けない。どうしても持つしかなくなると、重たいと保持できないじゃないですか。だからiPhoneでもいいような気がするんだよね。そうすると気持ちは軽くなりますね(笑)」。カメラに強いこだわりを持ちながら、心地のいい適当さ併せる嬉野Dらしい加齢対策を語った。

 どうでしょうと言えば、今も変わらないまったりとした空気の中で進行する。トーク主体で話が進むため、ネット上ではどうしても「つまらなくなった」とネガティブな感想を持つ人も少なくない。そんな反応について「SNS的なものあんまり見ないからな」と深くは知らないと言いながら「だいたい新作を出すと評判はよくないよね(笑)。でも、ちょっと時間が経つと『面白いんじゃないですか』っていう意見も上がってくる。最初は期待しているものがあるんだろうから、それが来なかったら、あれ?っていうものは誰にでもある」と意見に左右されずに、どうでしょうらしさを貫く意味を語った。

 つまらなくなったという評価が出る理由についても、ある程度は理解を示す。「(放送開始当初は)全く何にもなかった。知名度も予算もない。ただ初めてで、知らないことばっかりっていう中での困難さとハッピーさがあった。それから20年経って、知名度も上がって『どうでしょうは必ず面白い』って思われている。今の状態は自由度がかなり違う。お客さんが見たいものが、どんどん具体化している」と分析。加えて「大泉くんだって昔は博多で驚いていた。今は驚けない。そういう変化もある。人生経験積んじゃったら、そんなもので驚けない。壇ノ浦で寝れないっていうだけで驚いていたからね。また『博多か!』って驚いてほしいかもしれないけど、それはムリじゃない。我々の気持ちとしては変わっていない」と現在と過去を比較しながら、変わらない芯の部分を明かした。

 そんな「水曜どうでしょう」の新シリーズは撮影の真っ只中だ。進捗状況について嬉野Dは「撮影中なんですよ。だから放送は年内ではないだろうと。撮影快調、放送未定って感じじゃないの?」とにやり。今は4年ぶりの『水どう』の撮影を満喫している。「今、迷走しながらやっていますよ。4年ぶりですから。でも、撮影は楽しいよね。意味もなくなんだけどね(笑)。長時間やっていると、なんでも面白くなってくる。そういう臨界点があるんだよね」とうれしそうに話した。

 5月25日に発売した著書『ぬかよろこび』は、前作『ひらあやまり』(KADOKAWA刊)から約2年ぶりとなる珠玉のエッセイ第2弾。うれしー流・人生哲学書といえる内容で、前作で好評を博した“うれしーミニグラビア”も収録される。嬉野Dは「僕は作家じゃない。普通に生きてきた人が体験した中から感じたことを書いている。今回は短いエピソードが、いっぱい並んでいて自分にも覚えがあるような親しいできごとばっかり」と魅力を語った。

(C)ORICON NewS inc.

最終更新:6/3(土) 15:11
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