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学生の力で駅をより安全に 東京メトロが法政大と連携、社会に「見守る風土」醸成めざす

6/3(土) 16:18配信

乗りものニュース

本物の駅のような、駅ではない場所で

 東京メトロが大学と連携し、駅の安全性や利便性を高める新しい取り組みを、2017年6月21日(水)より飯田橋駅(東京都新宿区、千代田区)で実施。それに先立ち6月3日(土)、実際の駅を模した施設があり、本物の電車も走る「東京メトロ総合研修訓練センター」(東京都江東区)で、事前講習会が行われました。

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 飯田橋駅近くにキャンパスがある法政大学の在学生が、介助を必要とする利用者に対し駅構内でボランティア活動するもので、この日は約20名の学生が講習に参加。車いすやホームにある非常ボタンの扱い方などを学びました。

 法政大学が学生センター内に「ボランティアセンター」を有し、学生ボランティア活動のバックアップ、ボランティア活動を通じた近隣住民との連携を図っていることが、社会・地域貢献を重視するという東京メトロの方針と合致することから、東京メトロが声をかけたそうです。

 それに対し、法政大学側でも学生から地域と日常的にふれ合えるボランティアをしたいという声があったことから、今回の活動が実現したとのこと。

 この施策は、介助が必要な人でもより安全、便利に駅を利用できるようにするものですが、その先に学生ボランティアの力で「社会」を変え、「見守る目」をさらに強化、よりいっそう安全性を高めていく、という大きな目的があります。

学生ボランティアの「力」が社会を変える? 東京メトロのねらい

 2016年8月、東京メトロ銀座線の青山一丁目駅(東京都港区)で視覚障害がある人がホームから転落し、列車にはねられ亡くなるという事故がありました。そうしたなか東京メトロは駅の安全性を高めるべく、全駅へのホームドア設置などに取り組んでいますが、こうしたハード的な施策と合わせて全駅社員のサービス介助士資格取得、体が不自由な利用者への声がけ、ハンズフリー型インカムを活用した迅速な情報共有など、駅における「見守る目」の強化を進めています。

 この「見守る目」という意識を東京メトロは、社員や警備員などの関係者はもちろん、一般の利用者にも広げ、社会全体で体の不自由な人たちを「見守る風土」を醸成していきたいと考えているといい、そうした風土の醸成を、学生ボランティアの活動を通じ、図っていきたい、というねらいがあるそうです。

「学生ボランティアを見たほかの方にもそうした意識が広がって、『見守る』という雰囲気を醸成していけたらと思います」(東京メトロ 鉄道本部 梅川勇太課長補佐)

「学生がまわりの人を引き込む力は強いと思います。法政大学の市ケ谷キャンパスには1万6000人が通っていますが、そのなかで(ボランティアに参加していない人でも)『私も声をかけてみようか』といったように、2020年のオリンピックに向けて広がりが出てくればと思います」(法政大学 市ケ谷ボランティアセンター 南雲健介さん)

 今回、講習会に参加した法政大学3年生の高畑桃香さんは、最寄り駅で視覚障害のある人を案内したとき、やり方が分からなかったことから今回、ボランティアに応募したといいます。また中国からの留学生である王操さんは、中国では体の不自由な人はあまり外へ出かけず、バリアフリー環境も整っていないなか、そうした気配りが進んでいる日本で、どういう仕組みなのか知るため応募したそうです。

 講習会では座学のほか、実際の駅と同等の設備を持つ「東京メトロ総合研修訓練センター」で、目をつぶりながら歩いて移動するといった体験が行われ、参加した法政大学3年生の峯村広大さんは「目をつぶっていると怖いです。いつもと違います」とその感想を話します。

 今回のボランティア募集には約70名の応募があり、そのうち先着の約40名が活動に参加。活動時間は原則として10時から16時までです。

恵 知仁(鉄道ライター)