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酪農家、10年で6割減 乳価落ち込み、飼料高騰 小規模経営者が相次ぎ廃業 佐賀

6/3(土) 14:52配信

佐賀新聞

県、乳用牛維持へ新対策

 佐賀県内の酪農家が減り続けている。乳価低迷や飼料価格の高騰で小規模農家を中心に廃業が相次いでいるためで、酪農家戸数は10年前の約3分の1になった。全国平均を上回る減少傾向に歯止めをかけるため、県は本年度から乳用後継牛確保に向けた補助事業を新たに打ち出した。既に同様の助成を行っているJAとともに佐賀酪農の再興へ力を入れている。

 「以前は水田農業と酪農を複合経営する農家が2千軒はあり、酪農の先進県だった。佐賀の酪農はこのまま消滅するんじゃないか」。県酪農協議会会長で、神埼市脊振町で約30頭の乳牛を育てる横尾文三さん(68)は危機感をあらわにする。

実質「50戸未満」

 農林水産省の2016年統計によると、県内の酪農家数は64戸。2006年の167戸から61・6%も減少した。経産牛頭数も、06年の4220頭から2030頭に半減している。国との調査方法の違いもあり、県畜産課などによると「実際は50戸を割り込んでいるのが現状」という。

 ここ数年バター不足が表面化するなど、高齢化や後継者不足による酪農家の減少は全国的な課題だ。県内は家族経営の小規模農家が大半で、この10年間の減少幅は全国平均(戸数36%減、頭数17%減)を大きく上回る。

 生産者が出荷する段階の乳価(生乳の平均価格)は昨年、1キロ当たり101円まで回復したものの、08年までは80円台に落ち込んでいた。収入が減少する一方で、慢性的な飼料高が経営を圧迫。当座の運転資金を得るために肉用牛に切り替える農家もおり、乳用牛の減少に拍車がかかっている。

農家の負担軽減へ

 こうした厳しい現状を受け、県は本年度から対策に乗り出した。後継牛の確保策として2年間、酪農家が県外から乳用牛を購入する際に、1頭につき初妊牛10万円、育成牛5万円、経産牛3万円をそれぞれ補助する。高能力牛の精液を購入する場合には標準的な精液との差額の最大2分の1を補助し、農家の負担軽減を図る。

 本年度の事業予算は1087万円。県畜産課は「産地基盤を維持し、将来的に強化するためにも、まずは減少の流れに歯止めをかけたい」とし、18年度はほぼ現状維持の1950頭を目標に掲げる。

 県酪農協議会によると、県産牛乳の乳質は高く、他のブランド牛乳に負けない評価を得ているが、「乳量が絶対的に不足している」と横尾会長。県と同様の補助を実施しているJAさがも本年度から補助額を増やしており、横尾会長は「牛を増やして乳量を確保するとともに消費拡大にも力を入れ、後継者が育つ経営環境を整えていきたい」と話している。

最終更新:6/3(土) 14:52
佐賀新聞