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ジョコビッチはシュワルツマンに意外な苦戦、ピンチ克服でメンタル回復のきっかけとなるか [全仏テニス]

6/3(土) 15:10配信

THE TENNIS DAILY

 フランス・パリで開催されている「全仏オープン」(5月28日~6月11日/クレーコート)は大会6日目、男女のシングルス3回戦が半分行われ、男子はボトムハーフ、女子はトップハーフのベスト16が決まった。

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 もっとも残念だったのが、第10シードのダビド・ゴファン(ベルギー)が試合中の転倒により、右足首を負傷して途中棄権したことだ。第4シードで優勝候補筆頭のラファエル・ナダル(スペイン)は、グルジアの新星ニコラス・バシラシビリに6-0 6-1 6-0で圧勝。第2シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、世界ランク41位のディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)に5-7 6-3 3-6 6-1 6-1と苦しみながらも逆転勝ちを果たした。

 日本勢は日比野菜緒(LuLuLun)のダブルス2回戦のみが行われ、アリシア・ロソルスカ(ポーランド)とのペアは好調で、第17シードのダリヤ・ユラク(クロアチア)/アリナ・ラディオノワ(オーストラリア)を6-7(4) 6-3 6-3で破った。このペアでは4月にモンテレイで優勝するなど活躍しているが、グランドスラム初の16強入りは初めてだ。

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 シュワルツマンといえば、トップ100の中で西岡良仁(ミキハウス)と並んでもっとも身長の低い170cmという体格が一番の特徴だ。西岡が、左利きであることとスピード、ミスのない粘り強さを武器に58位までいったのに対し、シュワルツマンはスピードに加え機動力に長け、今年4月には自己最高の34位までいっている。西岡のように利き腕のアドバンテージはない分、よりアグレッシブなショットを早いタイミングで仕掛ける姿勢が、ジョコビッチという大物を前にして、より大胆になり、効果的に機能した。

 過去唯一の対戦は2014年の全米オープンで、競ったセットもなくジョコビッチがストレート勝ちしている。そのジョコビッチが第1セットの第4ゲームをラブゲームでブレークしたときは、前回の対戦と大きく異なる結果になろうとは思いもよらなかったが、第7ゲームでブレークバックを許してから歯車が狂い始めた。

 第12ゲームでシュワルツマンのセットポイントを4つしのぎはしたが、タイブレークにもち込むことはできず。ジョコビッチのドロップショットのミスが目立ったことと、長いラリーでのシュワルツマンの支配回数が少なくなかったこと、勝負どころのポイントを取りきれないといった点で、やはりジョコビッチは全盛期の頃とは大きく違っただろう。第3セットでは4本あったブレークポイントを1つも生かせず、トータルでは21本あったブレークポイントのうち13本は無駄に終わった。

 第2セットを6-3で取り返したが、事態は大きく変わらなかった。第3セットはふたたびシュワルツマンが奪い、先に王手をかける。第2セットから降り続けていた小雨で赤土は湿り、ボールは弾まない。粘りのシュワルツマンに有利な遅いコンディションになっていたことも、こういう展開になった一つの要因だろう。

 しかし第4セットを序盤から突き放したジョコビッチはファイナルセットにもち込み、足に疲労が出て動きが鈍くなったシュワルツマンに対してリードを広げ、3時間18分の末に勝利をもぎ取った。スタンディング・オベーションに浴しながら、善戦を実感したが、「100%の状態でなければ、ノバクのような選手には勝てない」とあとで話した。

 とはいえ、シュワルツマンのように小柄で、過去完敗している選手がここまでジョコビッチと競り合ったことは、別の選手に希望と自信をもたらすに違いない。一方でジョコビッチもこの日の試合から得たものが大きいという。

「フィジカルの影響はない。こんな試合は何回も経験しているから、2日あれば大丈夫。メンタル面ではいい影響があるはずだ。ピンチのときでも強い気持ちと冷静さを保ち続けていられたから」

 全盛期には露見しなかった〈弱さ〉と、取り戻しつつある〈強さ〉の両方を見せた一戦。スランプ脱出を期す元王者にとって、4回戦以降のカギを握る試合だったかもしれない。

(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)

最終更新:6/3(土) 15:10
THE TENNIS DAILY