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79歳 精進重ね世界一 水泳新記録樹立二つ

6/3(土) 19:06配信

カナロコ by 神奈川新聞

 傘寿を前に「キング」の称号を手にした男性がいる。下野育朗さん(79)=藤沢市遠藤。ことし2、4月の「日本マスターズ水泳短水路大会」で世界新記録を樹立し、5月には市から「生涯学習に特別貢献した」として表彰された。

 ラスト25メートルを泳ぎ切ると、会場は大きな拍手に包まれた。「世界新記録です」というアナウンスに、下野さんはやや苦しそうな表情を浮かべながらも右手を上げ、声援に応えた。

 4月15日、千葉県国際総合水泳場。80~84歳区分の400メートル個人メドレーで、7分9秒74の世界新記録をたたき出した。2カ月前には、同じ会場で同区分の200メートル個人メドレーでも世界最速のタイムをマークしていた。

 「キング・オブ・スイマー」。バタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、自由形を泳ぐ個人メドレーは競泳の華とされ、優勝者は「王様」と称賛される。だが「まさか自分がそんな風に呼ばれるとは想像もしなかった」と下野さん。

 60歳の定年退職を機に、近所の秋葉台公園プールに通い始めた。大会には出場したが「世界記録なんて夢の話だと思っていた」。転機は、ある先輩スイマーの一言だった。

 同じマスターズのチームに所属する世界記録保持者の先輩は言ったという。「俺の後を継いでくれ」。後に、国際水泳殿堂入りを果たした中村敬次郎さんだった。「憧れだった先輩の言葉は重かった」。あれから10年。今は亡き先輩の言葉を振り返り「ようやく、目標にたどり着けた」とほほ笑む。

 今月7日に80歳となる下野さんの目標は、長水路(50メートルプール)の大会での世界記録樹立。「泳ぐことは生きがい」と笑った。

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