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「どの大学でもいい」言えない辛さ 手取り12万円の母、入学金捻出に苦心

6/3(土) 21:00配信

沖縄タイムス

 困窮世帯では進学意識が低く、親の学歴の低い世帯では困窮率が高い-。沖縄県が2日に公表した子どもの貧困実態をまとめた調査報告書では、こうした貧困の連鎖状況が浮き彫りになった。「お金がないと教育も受けられない」「希望の進学先に行かせてあげたい」。子や保護者からは、既存の支援策のさらなる充実を求める声が相次ぎ、識者らは一過性に終わらせない県民総ぐるみの取り組みの必要性を訴えた。

 「貧困の連鎖」浮き彫り

 追加発表された高校生調査では、多くの保護者が大学などへの進学を望む一方、経済的に厳しい家庭では負担が重くのしかかり、進学を諦めるケースもあることが示された。

 県が児童扶養手当受給や住民税非課税の世帯、児童養護施設や里親家庭などで暮らす高校生を対象に授業料などを全額支給する「無料塾」。

 無料塾の那覇尚学院に通う高3の女子生徒(18)は琉球大学進学を目標に勉学に励む。母子家庭の4人家族。母親(49)は正社員だが、月の手取り額は12万円程度。女子生徒は家庭の経済事情を考えて、国公立の大学を選択したという。

 母親は「どこの大学に行ってもいいよと、言ってあげられないことが心苦しい」と明かす。大学の入学金は約30万円。娘の願いをかなえてあげたい親心と、入学金が準備できるかという不安が交錯する。

 高3の男子生徒(17)も母子家庭で県外国公立大学を目指している。母親(49)の仕事は日給制の臨時職員で手取りは月12万~13万円。入学金の捻出に苦心しているという。さらに2次試験の交通費をどうするか。返済義務のない給付型奨学金を受給できるのか、悩みは尽きない。母親は「入学前に何らかの助成制度があると助かる」と話した。

 また、住民税非課税世帯でなくても困窮している知り合いが身近にいるとし、幅広い支援制度の構築を求めた。

 南部の高校から同塾に通う高3の男子生徒(17)の父親(58)は「入学金など進学に必要な額は確保している」と話す。ただ以前、心筋梗塞を患い、時々仕事を休むこともあった。その分の給与は引かれる。男子生徒には双子の妹がいて、義理の両親の介護もある。「そこにもお金がかかり、確保した入学金を使ってしまわないか心配」と表情を暗くした。(社会部・西里大輝)

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最終更新:6/4(日) 12:05
沖縄タイムス