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地元中小企業でインターンの学生に奨学金 静大と浜松信金連携

6/4(日) 7:50配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 静岡大と浜松信用金庫は今夏、地元の中小企業でインターンシップを経験した学生を対象とする奨学金制度を始める。就職先の第1選択肢として地元企業へ目を向けてもらい、人口の域外流出、企業の人材不足など地域課題の解消を図る。関係者によると、個別の企業ではなく、地域に枠を広げたインターンシップ奨学金は全国初。

 就職活動を始める学生の関心は情報発信力が強い都会の大企業に偏りがちで、静大でも“地元志向”の学生は全体の3割程度。インターンシップは各企業の情報や魅力を発信する機会にもなるが、自ら生活費を稼ぐ学生がアルバイトを休めないなど、経済的な理由で参加できないケースもあるという。静大・学生支援センターの大八木智一特任准教授(61)は「就活の最初に知る企業は印象に残りやすい。奨学金は金銭的な支援と同時に、学生の目を地元に向けるきっかけになる」と意義を語る。

 学生の受け入れ企業は浜松市内の約25社で、業種は製造業や情報系など幅広い。学生は8~9月に2週間程度の実習に臨み、体験談や気付いたことなどを9月下旬の報告会で発表する。大八木特任准教授らが報告内容を審査し、一定の評価を受けた学生に返還不要の奨学金を贈る。受給人数や金額は未定だが、1人10万円前後を検討しているという。

 静大は今夏から1、2年生が地元企業の職場を“観察”する「ジョブシャドウイング」にも乗り出す。大八木特任准教授は新卒者の離職率が就職後3年以内で約3割に上る現状を踏まえ、「学生が低学年のうちから本気で地元企業を知ることで、ミスマッチによる早期の離職も抑えられる」と述べる。

 いずれは静大以外の近隣大学からも参加学生を募る方針。受け入れ企業の対象エリアも、浜松市から県西部へ広げたいという。

 ■静岡県西部の企業「若者採用に苦心」

 静岡労働局が公表した4月の県内有効求人倍率(季節調整値)は1.51倍(前月比0.04ポイント増)。24年11カ月ぶりに1.5倍台となり、就職戦線は学生優位の“売り手市場”が続いている。

 浜松信用金庫が4~5月、県西部の約220社を対象に実施したアンケートでは「地元の学生を採用したいが、どうしたら良いか分からない」との声が多く寄せられたという。同金庫地方創生戦略推進センターの安形秀幸センター長(62)は「地元の中小企業にも都会の大企業にはない優れた技術はたくさんある」と述べ、奨学金の創設に向け「産業の基盤は人材。若い人が地元に集まる仕組みを作りたい」と語る。

静岡新聞社