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室伏広治氏 ドーピング撲滅に強い決意!世界一クリーンな五輪にします

6/4(日) 10:59配信

東スポWeb

【東スポ2020 現場最前線(2)】アテネ五輪男子ハンマー投げ金メダルで東京五輪組織委員会のスポーツディレクターを務める室伏広治氏(42)がドーピング撲滅に強い決意を示した。リオ五輪では疑惑を払拭できなかったロシア選手団がチームとしての参加を拒否されるなど、禁止薬物使用に対する世界の目は厳しさを増している。本紙の単独取材に応じた室伏氏は、東京五輪が転換期になるとの考えを表明。現役時代の自身の経験も生かし、根絶への道筋を描いた。東京が世界一、クリーンな五輪を目指していく。

 スポーツディレクターの室伏氏はスポーツ局長としても約120人のスタッフを率いる。その主な仕事は「競技運営に関するすべての責任者」。東京五輪をまとめる中核の1人として、多忙な日々を送っている。

 開幕まで残り3年。五輪そのものがさまざまな課題に直面している中、大きな懸案事項がドーピング対策だ。ロシアは国主導の違反が指摘され、リオ五輪では一部選手が参加を拒まれた。また、検査システムの進化により過去にさかのぼってメダルを剥奪される選手も各国で相次いでいる。

 東京はこの難題についてどのように対応していくのか。室伏氏は「薬物を使うことは自分を否定することにもなる。スポーツの本当の素晴らしさというものを多くの人に伝えていく観点からしても、五輪の精神にも反している。そういう大会にならないように国を挙げてサポートしてもらいながら各関係と連携しながらやっていく」と根絶に強い決意を見せた。

 室伏氏自身、上位選手の薬物違反により、アテネ五輪では金メダルになった。この経験が今も息づいている。

 10年たってメダリストになってもやはり、喜びは違うもの。「一生懸命やった人がその場で(メダルを)もらえるのが一番いい」と力を込める。

 ロシアの問題を受け、欧州陸連は過去の世界記録の白紙化を提言するなど大胆な方針を打ち出した。国際陸連のセバスチャン・コー会長(60)は8月の理事会で議題とする可能性に言及している。室伏氏は「どういう内容のプロポーザル(提案)がされて、国際陸連がどう受け止めているか」。一方で、混迷する世界情勢に先駆けるように東京が果たす役割をこう力説した。

「スポーツ界全体が『これまでの体制でいいのか』と揺らいでいる。これをどう変えていくか今、大変な状況だと思う。ですから、東京を機にあらゆる社会に対しての信頼回復だったり、そういうものを含めて東京が担うスポーツに対しての意義は大きい。日本のクリーンさを前面に出して、これを機に(信用が)回復していくような取り組みをしていく必要がある」。薬物の検査機関までが資格停止になる時代。失われた高潔を取り戻す努力がスポーツ界には求められている。その役割を東京が率先して果たしていくという。

 実際に日本独自の取り組みも進んでいる。組織委は副会長の1人がドーピング問題を専門的に所管。これは過去の五輪にはなかった試みで、国際オリンピック委員会(IOC)から評価されている。また、昨年10月の安倍晋三首相(62)とIOCのトーマス・バッハ会長(63)の会談でも多くの時間がドーピング対策に割かれた。国内初のドーピング防止法案による法整備も検討されている。

「東京ではクリーンなアスリートが参加できるような体制を取ることが任務。真面目にトレーニングした人が正しい評価を受けられ、違反を犯すようなことをする人が日本に入って来て、競技会に参加するということがないようにしなきゃいけない」(室伏氏)。スポーツの魅力を守るため、公平性の追求を徹底する。

 東京から発信するのは薬物に頼ることなく、鍛錬を重ねて躍動するアスリートの姿だ。「五輪、パラリンピックを通して人間の限界にチャレンジすることの素晴らしさを感じ取ってもらえるような大会にしたい」。室伏氏は力強く結んだ。

【ドーピング対策】2020年東京五輪・パラリンピックでは、ドーピング対策を徹底する。国内の法整備については、4月に超党派のスポーツ議員連盟が「ドーピング防止法案」をまとめたばかりだ。これは、選手による禁止物質使用や指導者らがそれを手助けすることを禁じることを明記した。また、税関や入国管理局、警察などと連携し、外国人を含む選手らの個人情報を入手できるようにする。

 それら各行政機関からの情報は、日本スポーツ振興センター(JSC)にも共有されるが、さらにJSCには違反している選手らを内部告発するための通報窓口を設置。これらの情報は、必要に応じて日本アンチ・ドーピング機構(JADA)に提供され、検査するのかしないのか、調査・監視するのか判断される仕組みだ。

 大会期間中は約6500件という大量の検体を分析する必要に迫られる。既存の施設だけでは対応できないため、仮設の「大会専用ラボ」を設置することで対応。約150人の検査員が24時間、3交代でフル稼働し、後腐れないフェアな大会を実現する。

☆むろふし・こうじ=1974年10月8日生まれ。静岡・沼津市出身。千葉・成田高1年でハンマー投げを始める。日本選手権20連覇をはじめ、2004年アテネ五輪で金メダル、12年ロンドン五輪では銅メダルを獲得した。14年6月に20年東京五輪スポーツディレクターに就任。16年6月に現役引退を表明。現在は東京医科歯科大学教授も務める。父の重信氏はハンマー投げ前日本記録保持者。187センチ、99キロ。

最終更新:6/4(日) 10:59
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