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「1戦1戦集中して勝つ」 WBC世界王者・比嘉大吾に聞く

6/4(日) 7:30配信

琉球新報

 世界ボクシング評議会(WBC)フライ級タイトルマッチ(東京・有明コロシアム、5月20日)を制し、県出身では25年ぶりの正規王者の座を獲得した比嘉大吾(21)=浦添市出身、白井・具志堅スポーツジム、宮古工高出=は3日、那覇市内で琉球新報社の単独取材に応えた。今後の初防衛戦や連続KOの日本記録更新について「あまり先を考えず、1戦1戦に集中してKOで勝っていければいい」と決意を示した。

 デビュー以来13戦13勝(13KO)無敗と日本人初のパーフェクトレコードで世界王者を戴冠した。中城村出身の元世界王者・浜田剛史氏らが持つ連続15KOの日本記録更新については「あと2回勝てば並ぶ」と冷静だ。

 初防衛戦だけでなく、世界ボクシング協会(WBA)フライ級王者の井岡一翔(井岡ジム)との統一戦にも意欲を示し、質量ともに充実した「ハードトレーニングを今までと変わらずやっていくだけ」と気を引き締める。

 今後は「皆に一番憧れてもらえる、記憶に残るチャンピオンになりたい」と抱負を語った。

 具志堅用高会長らと共に9日に再び来県し、本島や宮古島市での祝賀会や凱旋(がいせん)パレードに参加し、ファンと交流などする予定だ。
◇不断の努力重ねる決意
 タイトルマッチは制限体重超過と再計量放棄で試合前日に王座を剥奪されたフアン・エルナンデス(メキシコ)と行い、6度のダウンを奪って6回2分58秒TKOで比嘉が勝利した。

 世界戦に臨む10日前、パニック症状で過呼吸に陥った。「(正規王者で)県出身25年ぶり、連続KO記録、白井・具志堅ジムからのチャンピオン-など、プレッシャーがめちゃ大きかった。しかもテレビ中継もある中で殴られて倒されたら、と変なプレッシャーがあった」。不安もよぎった本音を漏らす。しかし結果は、ハードパンチャーの名にたがわぬ内容で圧倒した。

■“最強”からの祝福

 リズムのあるフットワークで距離を取り、左右をスイッチしてくるエルナンデスは今までで「一番足の使い方がうまい」対戦相手だったという。「ああいううまい相手を倒して自信になった」。それでもアッパーを食らうなどして相手を捉えきれなかった第1ラウンドを思い起こし、「もっと詰めていかなくては。詰めのうまさが必要になる」とさらなる進化を誓う。

 世界戦後、比嘉のツイッターには多くのメッセージが寄せられたが、その中にはフライ級を含め4階級を制し“最強”ボクサーとされるローマン・ゴンサレス(ニカラグア)からの祝福の言葉も見つけ「世界で一番の男からのメッセージ。うれしかった」と喜んだ。

 世界戦後は、休息やあいさつ回りで本格練習は開始できていないが、野木丈司トレーナーの下、今回3度目の防衛に失敗して雪辱に燃える八重樫東やジムのメンバーと共に、坂道ダッシュなど通常に近いメニューは既に始めている。

■統一戦に意欲

 比嘉が世界王者になれなければ「ジムを畳む」とまで考えていた、と試合後に明かした具志堅用高会長に対しては「(本人からではなく)周囲からは聞いていて、チャンピオンにならんとだめだなと思っていた」。戴冠することで具志堅会長やジムへの恩を返した。デビューから育ててくれた野木トレーナーに対しても「練習はきついが、この人がいなかったら自分を限界まで追い込めない」と感謝する。

 「日本人対決は盛り上がるのでぜひやりたい」。世界最速で3階級制覇を達成した井岡との統一戦については、ジム一丸で意欲を燃やす。「井岡選手が世界チャンピオンになった時、僕はまだボクシングを始めていなかった。同じようにこれから(競技を)始める人たちが、自分(比嘉)を目指してやりたいと思ってもらえればいい」。その対戦に向けても「今まで通りに練習するだけ。変わったことはない」と語る。

 今後に向け、自らの一戦がテレビ生中継される日には「(皆がテレビ観戦のため家におり)人が(外を)歩いてないようないい試合をしたい」との意欲も語る。県内の若い競技者には「やっぱりハングリー精神じゃないかな。(若いうちは)いろいろ誘惑もあると思うが全ては自分次第。自分が決めること」と言葉を贈った。

 比嘉と具志堅会長らを招き、浦添市の比嘉大吾後援会による祝賀会が9日に那覇市のパシフィックホテル沖縄で、白井・具志堅スポーツジム宮古島応援会主催の凱旋(がいせん)パレードと祝賀会は11日に宮古島市内で行う。比嘉は「楽しみにしている」と笑顔で期待した。(石井恭子)

琉球新報社

最終更新:6/4(日) 9:43
琉球新報