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【インサイド記者の目】高萩市人口減対策 「お試し居住」盛況

6/4(日) 16:00配信

茨城新聞クロスアイ

高萩市が人口減少対策として取り組む「お試し居住in高萩市」が盛況だ。一定期間、市内で暮らしてもらう事業は、地域の魅力を実感してもらい、移住につなげるのが狙い。空き期間がないほど利用希望者は絶えないが、実際の移住にはまだ結び付いていない。このため市は今年度、移住関連施策を推進する男性2人を「地域おこし協力隊」に委嘱。空き家情報の収集発信や趣味に関する情報提供、若い世代を呼び込むための雇用創出など、具体的な移住促進策に乗り出した。 (日立支社・飯田勉)


「お試し居住」は2015年10月に募集スタート。翌年2月に受け入れを始めた。利用者は3カ月間を上限に市内で生活体験するが、2地域居住や退職後の新生活の場所、田舎暮らし体験など応募の理由はさまざま。この1年間で新潟県や福島県、埼玉県などから6組12人が利用した。

2地域居住を求めて利用した神奈川県の難波健さん(53)は「海沿い」「雪が降らない」が条件。夫婦で市内に2カ月間暮らした感想は「公共の場がきれいで野菜もおいしかった」。定年後の移住も考えており、「実際に生活して分かる部分も多い」と、制度の有効性を感じた様子。

「お試し居住」に活用する住宅は中心市街地にあり、JR常磐線の各駅や常磐自動車道インターに近く、周辺にスーパーやホームセンターなどがある。そこから海や山など自然体感できる環境だ。利用者に好評な理由について、市地方創生課の担当者は「地域の風土や日常生活を体験してもらおうと、市街地の空き家を活用したことが好評につながった」と分析する。

■協力隊2人に

市は5月までに、東京と大阪出身の若者2人を定住や移住を促進する「地域おこし協力隊」に委嘱した。首都圏に住む若者らの地方移住に関心が高まる中、2人は移住関連施策の情報発信や、移住相談会の企画運営、市物件紹介バンク(仮称)の運用支援などに取り組んでいる。

東京都出身の今村拓さん(21)は「地方に目を向ける若者は少なくない」と指摘。「高萩には東京にない地域資源があって、その資源を活用して移住を促進していきたい。移住希望者らに地域の魅力を伝えていきたい」と意気込む。

小田木真代市長は「首都圏の人たちにできるだけ高萩を知ってもらい、住んでもらえる環境を整えたい」と2人に期待する。

■連携が必要

市は6月から、新たに「お試し居住」に山沿いの空き家を活用。より田舎暮らしを希望する人に対応するためで、趣味やスポーツなどに関する講座の情報を積極的に提供していくという。

福島県いわき市の女性(30)は、父親が退職するのに伴い、両親と3人での移住を考えている。「緑に囲まれ、日常生活に便利な場所」という条件で探し、市の「お試し居住」を利用した。「条件を満たす上に、担当職員の対応が安心感を与えてくれている」と満足そうだ。

また市は空き家情報の取りまとめも急ぐ。市内には昨年9月時点で229戸の空き家を確認。「そのまま利活用可能」「特定空き家と思われる」など5段階の評価を加えた、物件紹介バンク開設を準備している。

このほか、移住定住の促進には住宅だけでなく仕事も重要になる。求人を増やす手立てや空き店舗情報提供、創業支援などがあり、こうした施策を進めるには関係団体の連携が必要になってくる。

★「お試し居住in高萩市」
高萩市への移住を検討している人などを対象に、光熱費や水道料などを負担してもらい、生活体験してもらう制度。市が木造平屋建ての住宅を提供する。利用料無料で、期間は1週間から2カ月間。住宅の間取りは3DKで水洗トイレや駐車場付き。その日から生活できるようにと、冷蔵庫やテレビ、掃除機、炊飯器など家電のほか、テーブルなど家具を備えている。

茨城新聞社