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6月利上げ、次の焦点は? 米景気は「二極化」の状況

6/4(日) 20:10配信

ZUU online

6月に開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、連邦準備制度理事会(FRB)の政策レート利上げが確実視されている。世界の金融市場の方向性を決めると言ってもいい米国金融政策の6月以降の焦点を分析しておきたい。

■6月利上げの可能性は95%

6月13~14日に開催予定のFOMCで、FRBは政策レートであるFFレートの誘導目標を現状の75~100bpsから25bps引き上げ100~125bpsにすることがコンセンサスになっている。

CMEのFedウォッチで6月14日に利上げする確率は95%に達している。

参考:CME Fed ウォッチ
http://www.cmegroup.com/trading/interest-rates/countdown-to-fomc.html)

リーマン・ショックで世界経済が破綻したため、日米欧など主要国の中央銀行は史上最大の量的質的緩和で世界経済を刺激する金融政策を実施した。あくまでも有事のゼロ金利政策であったため、米景気が回復すればFRBはFFレートを平常時の150~200ベーシスに戻したい考えだった。

そのための重要な指標として雇用統計をあげていた。米景気、雇用統計の改善を背景に、08年10月から続けていたゼロ金利政策を15年12月に解除した。その後も16年12月、17年3月に25bpsづつ過去3度の利上げを行っている。

6月2日に発表された米5月の雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)こそ市場予想の18万5000人増を下回る13万8000人増だったが、失業率は0.1%ポイント低下の4.3%と01年5月以来の16年ぶりの水準まで回復し完全雇用に近い状態になっており、6月FOMCでの利上げ予想が低下することはなかった。

■年内利上げ回数 9月可能性29%、12月可能性48%

Fedウオッチで6月以降のFOMCでの利上げ予想を見てみよう。
9月20日のFOMCでは、67%の確率で6月利上げ後の100~125bpsを据え置く確率となっており、9月利上げを見込むのはまだ29%程度。12月13日のFOMCでは、据え置き予想は48%に低下し、利上げ予想が49%まで高まっているが、まだ市場のコンセンサスとまではいっていない。市場の平均的な予想では6月利上げ後の年内利上げはあと0.5回程度ということになる。

3月の利上げ時ではあと年内2回というのがコンセンサスだった。この3ヶ月でコンセンサスが0.5回ほど減少した背景は、米経済指標が二極化している状況がではじめている点が挙げられる。景気頭打ちを示す指標がでてきたことには、FRBのバランスシート縮小計画が本格化してきたことがあげられる。

米国経済指標は、住宅関連指標や雇用統計など好調なものも多いが、小売統計や製造業PMI指数や物価統計など一部の統計には予想を下回る指標も出はじめた。「エコノミックサプライズ指数」という経済指標が予想を上回る比率を表した指数があるが、3月に頭打ちして下降し始めた。米景気は、景況感の分かれ目に来ている可能性がある。

■日経平均2万円でも円安が進まないワケ

FRBの議事録では、量的金融緩和(QE)で積み上げたバランスシートの縮小に関する本格的な議論が進みはじめていることが確認された。5月のFOMCでは、満期を迎える債券の再投資を徐々に減らすということが討論されている。毎月の債券の削減額を設定し、四半期ごとにその額を段階的に引き上げていく計画だが、実際に開始する時期などは言及されていない。FRBの債券のポートフォリオは、FRB債券購入プログラムで4兆5000億ドル規模にまで拡大している。

FRBは利上げの回数をペースダウンし、バランスシート縮小問題に着手する可能性もあり、以前ほど日米金利差拡大の思惑による円安が進まなくなっている。 今までは、FRBの利上げ観測が高まる局面では、日米金利差拡大の思惑で円安トレンドになることが多かった。今回は米利上げ観測にもかかわらず、思ったより円安は進まない。

3月のFOMC利上げ前の3月10日のドル円は115円50銭だった。5月の日経平均が2万円につっかけたときのドル円は114円台だった。6月2日に日経平均は1年6ヶ月ぶりに2万円をつけたが、6月2日の雇用統計後NY市場のドル円の最終気配は110円40銭とドル円と3~4月のドル円のレベルには達していない。

日経平均とドル円の相関関係が弱くなり始めたのは、米国の金融政策の見方に微妙な変化が出はじめたためだろう。FRBのバランスシート縮小は日銀の将来の債券や株式ETFのバランスシート縮小の見本となる可能性が強いため特に注目しておきたい。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

最終更新:6/4(日) 20:10
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