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後輩・高山の守備を一流に…阪神・中村豊コーチの『特別な感情』

6/4(日) 11:00配信

デイリースポーツ

 6月に入ったのに、幕張の風は少し肌寒く感じた。1日・ロッテ戦(ZOZOマリン)の試合後。阪神・中村豊外野守備走塁コーチ(44)は「何度も言っているんだけど。集中力が続かない」と高山俊外野手(24)のプレーを厳しく言及した。

【写真】高山 打球を取り損なって後逸

 自身の先頭打者ホームランで先制した直後の守り。2死一、二塁の場面で、ロッテ・鈴木が放った飛球は左翼方向に上がった。風速6メートルの風に押し戻され、打球は失速しながら左翼線へと向かう。全速力で落下地点に走った高山は体を投げ出し、ボールへグラブを伸ばしたが…。あと一歩、届かなかった。

 2走者が生還し、逆転。結果的にこれが決勝点となって、チームは敗戦に沈んだ。バックネット裏の記者席からは、打者のインパクトと同時に高山の足が一瞬止まったように見えた。瞬時に前へ一歩踏み出せていれば、捕球できた可能性は高い。本人も「そうですね」と認めた勝敗を分けた1球。試合後、中村コーチの言葉をどうしても聞きたかった。

 「プロに入る前までは守備に興味がなかった選手だからね。指導というか、教育していかないといけないと思う。根気強くやっていきますよ。続けてね」

 言葉の端々に怒気が込められていた。一言、一言が心に重くのしかかる。突き放すようなコメントには正直、想像以上の厳しさを感じた。地元・千葉で苦杯をなめた高山は今、どんな気持ちでいるのだろう。そんなことを考えながら帰宅の途に就いていると、懐かしい記憶を思い出した。

 「外野手ということなんでね。楽しみですよ。えこひいきするわけじゃないけど、絶対気持ちは入るよな」

 15年オフのドラフト会議で明大・高山が阪神に1位で入団。光り輝く金の卵は母校の後輩だった。心の底から喜び、今後共有していく時間を楽しみにしていた姿を思い出す。「(特別な感情は)少なからずあるかもしれないね」。指導を任された両腕にはこれまで以上に力が入る。同じ土で育った男をなんとか一人前にしたい。その思いが一番強かった。

 「俺は高山を信じてるよ。あいつは『やろう』という意志があるから。こちらが言ったことを素直に受け止めてやってくれるから。広島の赤松も、丸もずっと(阪神の)ファームの(コーチを務めていた)時に見てたけど、最初はできないもの。全ては結果だよ」

 新人王に輝いた昨季は、外野手部門でリーグワーストの6失策。オフは「股割り」と、「送球時のステップ」のふたつを宿題として課していた。2年目シーズン、求めるハードルはさらに高くなる。「技術ではなく、意識の問題」。球界を代表する選手へ、共に夢を追いかける。(デイリースポーツ・中野雄太)