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ホークス松本裕、故郷で飾ったプロ初勝利 故障で単独指名…「おまえが一番、腕を振れるフォームを探そう」

6/4(日) 6:50配信

西日本スポーツ

 ◆DeNA3-7ソフトバンク(3日・横浜スタジアム)

 背番号66の新しい歴史が幕を開けた。3年目の松本裕樹投手(21)がプロ2度目の先発でプロ初勝利をつかんだ。DeNA打線に対して5回2/3を3失点。被安打は5で4奪三振、無四球の好投だった。両親が見守る中、生まれ育った故郷の横浜で刻んだプロ第一歩。内川主将が登録を抹消されるというショッキングなニュースもあったが、その打線の強力援護も生かして首脳陣、ファンの期待に応えた。ホークスの貯金は今季最多の14に膨らんだ。

【写真】二刀流の声もある松本裕は、故郷でプロ初安打も放った

■5回まで1安打

 野球観戦に行けば、今はチームの先輩吉村が打っていた。自身も軟式の大会で踏んでいる。横浜スタジアムの空が青かった。ドラ1の3年目松本裕。「前回ふがいない投球をした。取り返せて良かったです」。初先発だった前週の日本ハム戦で、11点援護を受けながら5回途中6失点降板。今度は6回途中3失点で、故郷にプロ初星を飾った。

 前回4点、今回も3点。初回の援護を生かした。「フォームも見直したし、立ち上がりを意識して。前回は四球で入った。どんどんストライクを取ろうと」。この日最速144キロでも、常時では130キロ台。それで差し込み、空振りもさせた。5回まで1安打零封。「スピードじゃないってことだね」と工藤監督。「球を操る能力はウチでも一、二を争う」とも言った。

 2014年ドラフトでホークスが一本釣りした。競合もあり得た好素材。右肘の故障が「単独指名」の状況を生んだ。同年夏の甲子園での、肘をかばった立ち投げに近い投法も評価された。「あの投げ方で東海大相模相手に勝つ(初戦で3失点完投勝利)のは並ではない」とセンスを買う声があった。

■犠打&初安打も

 寮の自室にDVDがある。中身は3年前の夏、高校野球の岩手大会準決勝。盛岡大付2-0盛岡三。自身10Kで1安打完封した。「今までで一番いい投球でした」。右肘を痛めたのは続く花巻東との決勝だった。ほぼリハビリの1年目。マウンドに戻った2年目…。「またあの感覚で投げたい」とDVDを見返した。

 一緒に見てくれた斉藤リハビリ担当コーチ。「おまえが一番、腕を振れるフォームを探そう」と考えてくれた。昨季のある日、新聞紙面をくれた。投球の連続写真。巨人菅野だった。何度も見返し、気づいた。「菅野さんは上半身と下半身が別の動きをしていた。グッとタメをつくれるから球に力がある」。紙面は今、筑後のロッカーにある。

 二刀流の声もある打席には「楽しく入れました」。2回1死一塁でスリーバント成功。4回無死三塁では投前へ高く弾んだプロ初安打。6回は甲斐の犠打で1死二塁として、中堅へいい当たりの中飛で沸かせた。

 4点差の6回に4連打で1点差に迫られ、2死を取って救援を仰いだ。「簡単にはいかないな、と。監督にも言われましたけど、緊迫した場面でストライクを取れる変化球がないと」。ヒーローインタビューで誓った。「今年1年、1軍で投げ続けるのを目標に頑張ります」。次の一歩を踏み出す。

▼佐藤投手コーチ「今日は文句のつけようがない。これ以上ない…これ以上がなかったら困るけど。次の(先発)投手を考えなくてよくなった(笑)」

■ウイニングボール、両親に

 ウイニングボールを「両親に渡します」とヒーローインタビューで語る松本裕を、三塁側内野席で家族が見守った。感無量の表情ながら、父浩さん(48)は「ゲッソリしました」と苦笑い。前週の札幌にも駆けつけ「あんなに制球が悪いのは見たことがありませんでした」と自身も緊張しっぱなしだった。兄健太さん(23)は「安心しました」と母末江さん(44)と胸をなで下ろしていた。

=2017/06/04付 西日本スポーツ=

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