ここから本文です

“孤独死”の部屋に猫が残されていた! 謎の猫「ロッシー」が家族へもたらした変化

6/4(日) 10:01配信

sippo

「猫だっ!」

 克也さん(仮名・55歳)は、部屋の押入れを開けた途端、思わず声をあげた。グレーの少し痩せた猫が、布団の上で震えながらうずくまっていたのだ。一緒にいた妻と義兄が、「どこどこ?」と走り寄る。その猫は、10日前に急逝した義弟(妻の弟)が、独り暮らしのマンションで一緒に暮らしていた相棒だった。

【写真特集】謎の猫ロッシーとみぃ子

 発見、保護したのは7年前の12月。克也さんが思い出しながら話す。

「義弟の死因はくも膜下出血。48歳でした。夜、無断欠勤を心配した同僚が、義弟のマンションを訪ね、大家に開けてもらい、台所で倒れているところを発見しました。その同僚から電話が入り、深夜に嫁とマンションを訪れると検死が始まっていて、嫁だけ部屋に入りました。『猫を飼ってるはずだ』と嫁が言ったんですが、その時には姿が見えなかったんです」

 翌日、遺影に使う写真を探しに、再び義弟宅を訪れたが、やはり猫の姿はなかった。警察や消防が頻繁に出入りしたため、「玄関から逃げたのかもしれない」と妻は心配した。猫がフードを食べた形跡もなかった。

「もしかしたら警察官が、猫がいると知らずに、押入れを閉めてしまったのか……無事だったのでほっとしましたが、大変だったのはそれから。猫は怖がってサーッと隠れるし、僕らは猫を飼ったことがないので扱い方がわからない。それでペットショップをネットで探して電話して、『どうしたら捕まえられますか』と尋ねたんです」

 ショップ店員は、毛布で押さえてケージに入れるように話した。猫は逃げまわったが、義兄と2人でなんとか捕まえて、部屋にあったケージに入れた。

「次は、猫をどうするか、が問題でした。義兄夫婦はペットが飼えないマンションに住んでいて、猫を受け入れる気持ちもない。僕らは戸建で子ども2人と住んでいるが、幼い頃から動物とあまり触れあったことがない。かといって動物愛護センターに引き取ってもらうのも忍びない……嫁と話しあって、そのまま家に引き取ることにしたんです」

 結局、猫をキャットフードや猫用のお皿、トイレなどと一緒に自宅に連れ帰った。

 自宅の居間でケージから出すと、隣の長男の部屋のタンスの上に駆け上り、近づくと「シャーッ」と威嚇した。しばらく近づかず、フードだけ床に置いてみた。妻と義兄は“オス”で“10歳くらい”と聞いていたが、名前は知らなかった。

 その後、義弟のパソコンを開くと、猫の写真が入ったフォルダが見つかった。「ロッシ-」と名前が書いてあった。

「確かに名前の通り、勇ましい、イケメンでした」

 ロッシ―が居間まで出てくるようになったのは、家に来てから3日後。その6日後には、2階にある克也さんの仕事部屋兼寝室にも足をのばすようになった。そして、その晩、初めて克也さんの布団の上で寝たという。

「ちょっと嬉しくて、『初、布団』と手帳に書いたんです。日当たりがいいせいか、昼間も僕の部屋で過ごすことが多くなりましたね」

 家に慣れた約1か月後、克也さんはロッシ―を動物病院に連れていった。妻が「弟が猫の心臓が悪いと言っていた気がする」と思いだし、検査してもらうことにしたのだ。すると、ある大きな勘違いをしていたことが判明した。ロッシーは、オスではなくメスだったのだ。

1/2ページ

最終更新:6/4(日) 10:01
sippo