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愛好家増えるトレイルランニング 「まずは山に」

6/4(日) 8:45配信

福井新聞ONLINE

「トレイルランニング」をご存じだろうか。直訳すると「山道を走る」。自然の中を駆け抜ける開放感、険しいコースを走り抜いた達成感を味わえると、日本中で愛好家が増えているという。福井県内でも、じわりじわりと人気が高まる“トレラン”の実情を探った。

 鮮やかなカラーリングにスタイリッシュなデザイン―。スーパースポーツゼビオフェアモール福井大和田店(福井市)のトレランコーナーにはさまざまなシューズが並ぶ。登山靴のようなごついものではなく、見た目はランニングシューズ。店員の竹内智希さん(24)は「走るための靴だから軽い。底に凹凸があったり、防水機能がついているのも特徴」と説明する。

 竹内さん自身も愛好者。若狭町内を巡る「若狭路トレイルラン」参加をきっかけに、コーナー開設を企画した。「自然の中を走るのは本当に気持ちがいい。これは広めたいと思った」。初心者から上級者向けまで幅広く扱い、毎月コンスタントに売れている。「当初は2、3足。年々伸びているのを見ると、トレランの認知度はかなり広まったのでは」と推測する。

 ところで、県内の愛好家は一体どこを走っているのだろうか。「これというコースは特にない。仕事終わりは近場の里山、休日には比較的高い山に登ってます」。トレラン歴約8年の谷橋洋平さん(36)=福井市=はこう説明する。

 仲間とマイペースで山野を巡るのも良し。レースに参加して限界に挑戦するのも良し。楽しみ方は人それぞれ。谷橋さんは今春、西山公園(鯖江市)を発着点に越前、福井市などの山々をぐるりと100キロ走破したという。

 まったくの初心者が挑む場合に注意することはあるのだろうか。谷橋さんは「僕みたいな愛好家と走ることが一番」と強調。「歩きでもいいから、まずは山に入ってみること。そこで必要だと感じた装備などをそろえればいい」とアドバイスする。

 高まるトレラン人気を受け、県も普及に力を入れている。昨年、県内3地域にモデルコースをつくり、経路や周辺の見どころを紹介する地図、スマートフォン用アプリを作製した。コース整備の支援事業なども行っている。

 県内ではウオーキングを含め数多くのトレイルイベントが開かれている。その一つが、越知山(越前町)を散策する「越知山泰澄トレイル」。主催する越知山泰澄塾は昨年、登山道に「トレイルコース」と明記した道しるべを設けた。「細かい落ち葉が自然のクッションになっているので、走りやすいと思う」と山口賢治塾長(62)は語る。実際に入山すると、軽装でさっそうと駆けていくトレイルランナーたちに遭遇した。

 越知山は泰澄大師が若かりしころに修行した「信仰の山」(山口塾長)。白山開山1300年にあたる今年は入山者が特に多いという。山口塾長は「山に入る人が増えるのは歓迎。トレランで来た人たちも、山頂で手を合わせ、泰澄やこの山のことを少しでも知ってくれれば」と願う。

 越知山以外にも、県内には歴史があり風光明媚(めいび)な山々がある。道を譲り合う、あいさつを交わすといったマナーを守り、必要十分な装備をそろえ、「山を楽しむ」という気持ちを持って、魅力の一端に触れてみてはいかがだろうか。