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消火難航、漂う煙、異臭 福岡の産廃火災1週間、113人が体調不良

6/4(日) 6:31配信

西日本新聞

 福岡県嘉麻市大隈の産業廃棄物処理業「エコテック」の中間処理場で5月28日に発生した火災は、1週間を迎えた3日も鎮火のめどが立たない。消火に当たる同県飯塚地区消防本部は1日、異例の記者会見を開き「週明けには鎮圧状態にしたい」と強調したが、消火活動は難航している。周囲には煙と異臭が立ち込め、住民の健康被害への不安も広がっている。

【画像】白煙が上がり続ける産業廃棄物処分場

 嘉麻市の山中にある処理場。20メートルもの高さに積み上がった黒い堆積物からは、灰色に近い白煙が噴き出し続け、プラスチックの焼けたような臭いが漂う。

 近くの女性(52)は「火災が起きてから、自宅に戻るたびに喉の調子が悪くなる。煙は窓を閉めていても入ってくる」と顔をしかめた。

 消防本部によると、1日までに焼失したのは底面積だけで約7千平方メートルと推定される。燃えているのは木くずや廃プラスチックなど。高く積み上げられているため、表面の火が収まっても内部がくすぶっている状態で、水が内部に浸透しないことが消火に時間がかかる一因という。

 消火活動には福岡市や福岡県八女市など同県内計24カ所の消防も消防車を出動するなど応援。ため池などから取水して放水しているが水が不足している状況だ。

 また、現在はパワーショベルで廃棄物の山を崩しながら消火を続けるが「山をならすだけの敷地面積が足りない」(同消防本部)といった問題も浮上し、作業の遅れにつながっている。

「頭を下げるしかない」

 消火の長期化による影響は徐々に出ている。風向きで強弱はあるが、処理場から1・5~4キロの地域で鼻を突くような臭いがあり、域内には小中学校や旧山田市の市街地もある。嘉麻市がこれまでに把握している体調不良者は、子どもを含む113人に上るという。

 10キロ以上離れた福岡県飯塚市でも、微小粒子状物質「PM2・5」の数値が一時的に高濃度を観測、健康被害への懸念が広がる。

 消火に使用する化学消火剤の一部が近くの川に流れ、水質を心配する声もある。同本部は「成分の界面活性剤は環境や人体に影響はない」と、安全性に問題はないと説明する。

 火災の発生で、エコテックが廃棄物処理法基準の5倍を超える量の廃棄物を保管していたことも明らかになった。出火原因は調査中だが、廃棄物処理に詳しい北海道大大学院廃棄物処分工学研究室の松藤敏彦教授は「可燃物が空隙(くうげき)のない状態で積まれていると、微生物分解や酸化反応などにより発生した熱が逃げず温度が上がり、自然発火することがある」と指摘する。

 エコテックの社長(42)は西日本新聞の取材に対し、廃棄物が基準量を超えていたことについて「受け入れ先を増やすなどし、本年度中の片付けを目指して作業していた」と説明。「煙や臭いで住民に迷惑をかけていることには頭を下げるしかない」と話した。

=2017/06/04付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社

最終更新:6/4(日) 6:31
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