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これでいいのか? 芸能人と薬物報道 専門家からあがる疑問の声

6/4(日) 17:00配信

BuzzFeed Japan

警視庁築地署が6月2日、俳優の橋爪遼容疑者(30)が覚せい剤取締法違反(所持)容疑で現行犯逮捕したことを、各メディアが一斉に報じた。【石戸諭 / BuzzFeed Japan】

橋爪容疑者は、数多くのドラマ、映画に出演している俳優・橋爪功さん(75)の長男だ。

5月下旬には、元KAT-TUNの田中聖容疑者(31)が大麻取締法違反(所持)の疑いで現行犯逮捕された事件(逮捕時に本人は否認)も、大きく報じられた。

こうした報道に対して、専門家たちが疑問の声をあげている。

弁護士が発表した声明

弁護士らでつくる「日本エンターテイナーライツ協会」は橋爪容疑者の逮捕を受けて、こんなコメントを発表した。

仮に橋爪遼さんの違法薬物使用が事実であったとしても、薬物使用に至った動機や経緯を邪推した報道をしたり本人や親族等を追い詰めるような内容で報道をしたりすることにも慎重になるべきです。

違法薬物使用は犯罪ですが、同時に専門の医療機関等で治療を行う必要がある病気でもあります。そして、治療のためには専門家の助言や身近な存在の協力が必要となります。

しかしながら、薬物使用に至った動機や経緯を邪推して安易な反省を求めたり、過剰にセンセーショナルな形で報道したりするようなことは、治療を遠ざけるだけでなく、違法薬物使用に関する誤解や偏見を強めることにもなりかねません。

繰り返される問題

そもそも、本人に反省しろと迫っても回復が早まるわけではない、むしろ逆効果だと専門家は言う。薬物依存症治療の第一人者、精神科医の松本俊彦さんは以前、BuzzFeed Newsの取材にこう答えていた。

反省なんて、してもしなくてもいいから、治療のプログラムを受けてほしい。だいたい、反省の有無は回復には関係ないんですよね。

反省して生活が立ち直るなら、それでいいのですが、そういう調査結果はありません。逆に反省を強要すると、もっとウソつきになるんですよね。

――そうなんですか?

刑務所にいれば、早く仮釈放されたいから簡単に反省するんです。

本当は覚せい剤をやりたいのに「やりたくない」と言う。あるいは意志を強く持てば大丈夫だと思うようになる。

「今度はやらないと決めました」とか「強い気持ちで断ちます」とか言うようになるんです。でも、気持ちで解決できるほど、依存症って甘くないんです。

ただ、芸能人の逮捕をセンセーショナルに報じるだけでは、薬物依存症についての理解は深まらないし、当事者の治療や再発防止にもつながらない。専門家たちは、そう訴えている。

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最終更新:6/4(日) 17:00
BuzzFeed Japan